実母まで保険金毒殺のターゲットに
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和歌山市園部のヒ素を使った保険金詐欺事件で和歌山東署捜査本部に逮捕された元保険外交員、林真須美容疑者(37)=写真=の母親が2年前、「急性白血病」で急死する直前に「娘が持ってきた総菜を食べるたびに気分が悪くなる」などと親しい知人に訴えていたことが7日、明らかになった。真須美容疑者には夫の健治容疑者(53)に対する毒殺未遂容疑も浮上しており、捜査本部は、夫だけでなく実母まで保険金のターゲットにしていた可能性もあるとみて裏付け捜査を急いでいる。
親しい知人によると、真須美容疑者の母親は、平成8年9月下旬に体の不調を訴え、和歌山市内の病院に入院。入院からわずか20日後の10月11日、67歳で亡くなった。死因は「急性白血病」とされ、葬儀は母親が住んでいた和歌山県有田市で営まれた。
母親は入院する1週間ぐらい前にこの知人に会った際、「娘(真須美容疑者)が持ってくる総菜を食べるたびに、おなかが痛くなったり、気分が悪くなる」と話していたという。総菜は、真須美容疑者がスーパーで買ってきたとみられる「はるさめ」などだったという。 知人は「(母親は)入院する前までミニバイクで近所を走りまわっていた。『今度一緒に温泉に行こう』なんていってたぐらいで、急なしらせにびっくりした」と話している。
また、別の知人によると、母親は平成5年11月の真須美容疑者の出産や8年2月に真須美容疑者が両足にやけどを負った際など和歌山市内の真須美容疑者の自宅に手伝いに訪れていたが、有田市の自宅に帰った際、「娘の所へ行くと、なんか体がこたえる」と漏らしていたという。専門家によると、「急性白血病」とヒ素中毒の症状は、白血球が減少するなどの点で酷似しており、ヒ素中毒の臨床例の経験がない医師が診断すると、「急性白血病」と誤診する可能性もあるという。
一方、真須美容疑者は4年3月から6年10月までの2年半あまりの間に、母親に対して計5件の生命保険を次々と契約。最終段階で死亡時保険金は総額2億円近くにのぼり、毎月の保険料の支払いは約30万円に達していた。一部の保険は保険料が滞っており、契約が失効していたが、母親の死亡後、総額約1億4000万円の保険金が真須美容疑者の手に渡っていたことがすでに判明している。真須美容疑者の親族は、真須美容疑者が母親に多額な生命保険が掛け、保険金を受け取っていたことを知らなかったという。
捜査本部では、母親が真須美容疑者が持ち込んだ総菜を食べて、腹痛や吐き気などヒ素中毒によく似た症状を訴えていたことや、親族に無断で60代の母親に次々と保険をかけ、死亡保険金を増額していたことなどから、真須美容疑者が保険金目的にヒ素を総菜に混入させた疑いもあるとみて、母親のカルテなどを詳しく調べている。
母親の保険契約について真須美容疑者は逮捕前、報道陣に「母はもともと裕福で年金収入や退職金もあった。保険料は母が払って受け取りが私になっていた。なぜ、報道しなければならないのか、プライバシーの侵害が」などと説明していた。
【上野正彦・元東京都監察医務院長の話】 「ヒ素中毒と白血病の症状は、白血球が減少するなど、たしかに似た点がある。ヒ素中毒の臨床例をみた経験のない医者が診断すれば、白血病だと誤認することもあるかもしれない。ただし、白血球を顕微鏡などで見るなど詳しい検査をすれば、白血病の白血球は明らかな変化を起こしているので、間違えるとは考えにくい」
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