所用で中国東北地方・瀋陽に行った時、カラオケバーに「宇宙戦艦ヤマト」があった。一体誰が歌うんだ。しかもハングルの字幕付きだ。万国のオタクよ団結せよ。いや、70年前張作霖を吹っ飛ばした地元である。「ヤ〜マ〜ト〜」なんて放吟して「日本鬼子がまた」とか言われてもヤなので、結局私たちは一緒にあった「トリトン」かなんか歌って国際問題を未然に回避したわけなのですが。
そんな私たちの懸念が、まんざら杞憂ではなかったこと、つまり、かの地において、抗日の伝統は、サイバー世界にも脈々と受け継がれていることを証明したのが、今春、中国で発売されたこのゲームだ。その名も「抗日地雷戦」(WINDOWS95対応)。
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抗日地雷戦
プレーヤーは八路軍の遊撃隊長になって、ドラクエのノリで戦場を駆けずり回り、地雷で「日本鬼子」どもを吹っ飛ばしまくるのである。やられる敵(日本軍だよ)のボスキャラは、松井岩根、谷寿夫、土肥原賢二、寺内寿一、川島芳子をはじめとするそうそうたる人々。早い話が「ボンバーマン」日中戦争版だ。
発売元の金山電脳有限公司(本社・広東省珠海)はホームページを開いている。
製品紹介ページで「抗日地雷戦」のところをクリックすると、戦火に見舞われた駅頭で泣き叫ぶ赤ちゃんの有名な写真をあしらったダイナマイトな迫力のバナーとともに、シナリオ紹介や、ゲーム所収のビデオ映像のクリップ、そして松井大将はじめ主要キャラの皆さんに出会える。ただし川島芳子は男装の麗人ではなく、得体の知れない和服姿のねーちゃん。また、開発段階で制作されたページのためか、松井岩根の名前が小林さんになってたりしてます。
ちなみにこのページは「GB」コード(中国簡体字コード)で制作されているため、文字をきちんと読むためには別途GBフォントを手に入れて下さい。
ゲームそのものは、はっきり言って日中現代史を題材にしたファンタジーRBGである。八路軍は地雷だけでは飽きたらず憎っくき日本軍に「毒虫」とか「蜂の巣」とか「巨毒蛇」なんて情けない攻撃アイテムを投げつけるし、士気を向上させるアイテムは「茅台酒」「竹葉青酒」「五糧液」など酒ばっかだし。
味方(八路軍だよ)のキャラは、馬に乗って日本兵を射殺しまくる謎のばあさん「金花婆」とか、黒風塞を根城に八路軍の行く手を阻むものの愛国心に目覚めて仲間になる「向天虎」「向天豹」兄弟とか、もう日中戦争だか「水滸伝」だかよく分からない。
一方窮地に陥った日本軍は、「忍者隊」とか「相撲隊」(ふんどし一丁のカトチャンヒゲの太った親父)とか、外国人が日本を誤解する時のお約束な連中を出撃させる。また、なぜかゲーム中ではものすごく偉い川島芳子は、負け続ける松井岩根を叱り飛ばし「北海道で羊でも飼ってろ」とかワケのわからない罵り方をするし、怒られた大将は「我的無能、請芳子小姐訓導」としおしおのぱあのギャグキャラになって(松井弱音か)、かくして皇軍の戦線はもろくも土崩瓦解していくのである。
こんなゲームを楽しく全クリした私は、「この自虐史観野郎め」とか、正論諸君おじさんたちに怒られるんだろうか。
トンデモソフト、というにはちょっといろいろ引きずっているものがあるので何なのだが、実力をつけてきた中国の軟件産業は、向後いろいろさらにブッ飛んだ作品を送りだしてくれることと思う。
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