[ NO.0495 ] [ 98/06/15 00:14:08 ]  [ 投稿者:東本昌平 ]
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キリン

 若者はふりかえる。己の過去を。

「我が名はバイク乗り。OGAWAの意志を継ぐもの----」

 HAYASHIは、ファッションライダーだった。かたちだけの限定解

除、かっこつけの為だけのドカティ。ぼっちゃん生活の恩恵、金

だけは使ったチューンナップも、法定速度尊守の安全運転野郎HAYASHI

には意味がなかった。原チャリにもヌかされた。

「教えてやろう。十代のトキメキというやつを」

 かつて東名でポルシェを追い回した伝説のライダーOGAWA。

 OGAWAは、HAYASHIにすべてを教えてくれた。峠を攻めること、

夜の首都高を流すこと、北海道のツーリングは、いまでも克明に

覚えている。

「ようこそ、こちら側へ」

 OGAWAが、そう微笑んだように見えた。あるいは錯覚か。

 公道300Kmの世界。それは、ドカティでなお二段階右折をし

ていた公道60kmのHAYASHIには想像もできない空間だった。

「チャック、チャック、イエーガー」

 悩んだり、困った時には、そう唱えろと、OGAWAは言った。

「ファッションじゃねぇんだからよ。俺のスタイルなわけ。ハヤ

リでやるのが女のファッションだ。スタイルは男の生き方。欠配

は俺のスタイルだ」

 そのたびに配達所で朝食をとっていたHAYASHIは、尻拭いをさせ

られたが、ライオンに我が子が殺され食われるのを目前にして、

逃げずに見つめる母親キリンのように泰然としているのだった。

「The Horizontal Grays 地平線を駆けるあし毛の馬。銀馬の群

れだ」

 HAYASHIはつぶやく、

「我が名は新聞配達。OGAWAの意志を継ぐもの---」



 次回、舞台は公道からサーキットへ。看護婦ハヤシ姉とトップ

ライダーOGAWAの結婚。ゆれるHAYASHIの心。「サーキットの狼」編

スタート!



 hide死んでネーヨ!



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