[NO.0280] [96/07/08 02:26:35]


N.W.研究報告


●ケンシロウはネクラなインドア派

 北斗神拳の継承者ケンシロウは、今でこそ正義の宿無し無頼派殺人者として

有名だが、核戦争前の彼は、家にこもりがちで内向的な性格であった。

 新しい物好きであった彼は、ある日ツイスターに興味を持ち、近場の玩具屋

で購入する。ところが一緒に遊ぶ友達がいない。仕方がないので自宅の部屋に

鍵をかけて一人で遊び続けた。唐突に高額な品を買ったことがバレると母親の

手前、説明が面倒だからだ。ともかくこの時の孤独で無用な遊戯体験が、無双

の北斗神拳(ツイスターシングルプレイ)を生み出したのだ。したがってこの

拳の始祖は実は彼自身なのである。世に知られる一子相伝の話は、バカなくせ

にプライドだけは高い自意識過剰のガキが、虚勢張りたさでうっかし同級生に

広めてしまった要領の悪いウソなのであった。ところがこれがヘタに知られて

しまった手前、いまさら「あれはウソでしたメンゴっ」などと言えないわけだ。

奴の立場からしてよ。

 かくして猪木のブラジル苦労話のように、荒唐無稽なウソを生涯に渡ってつ

き通さねばならない十字架を彼は背負ってしまった。しかも周りの同級生は歳

を重ねるごとに常識的な判断がきくようになってゆくよ。ぷぷぷ。



●ケンシロウの趣味@

 金太郎アメはどこを切っても金太郎だが、ケンシロウの趣味もまた、どれを

とってもネクラの一言に尽きた。まず彼はオーディオマニアである。こぶ平が

ジャズマニアという話は良く聞くが、無双の北斗神拳(ツイスターシングルプ

レイ)の継承者であるケンシロウが、よりよい音環境を目指して値の張る針を

個人輸入したり、コンポの下にブロックを詰んでいた、という事例については、

これまで全く報告がなされていなかった。まさに今世紀最大の発見であると申

してよいだろう。当時の彼の愛読書は小学館発行の『サウンドレコパル』。ち

なみに兄弟誌の『FMレコパル』も名前の尻が同じという、いかにも幼稚な動

機にもとづいて目を通していたのは申すまでもない。ちなみに当時の同誌には

毎号、巻頭付録として、高橋留美子のイラストによるカセットインデックスが

ついていた。それを知って以後、ケンシロウは、最新号が店の書棚に並ぶたび、

本を買いもしないで、この付録の所在をただ目でちらちら確認するようになっ

た、という。



●ケンシロウの趣味A

 また彼は、いつの間にかハムの免許を取ってもいた。ネットゲームの世界に

「ミーは台北にフレンドがいるグローバルな選良ザンス。民族差別とか、ワ

ールドワイドな問題意識も持っているザンスよ」などと、将来の就職の道が地

場に居を構える大企業しか思い当たらないような田舎の工業高校生が聞いたら

速攻でチョーパン&モモチの二連コンボ必至の自慢話を垂れるクソバカガキが

いるわけだが、ケンシロウもまた、その類に漏れぬのであった。

 そのころやっと出来たクラスの賤民仲間であるトキ(ワースト3)に、カナ

ダの女の子とQSLカード交換を行えたというグローバルでワールドワイドな性

の悦びを分かちあおうと、トキが委員を務める図書館に走ったが、おりしもそ

こでは委員特権を濫用し、テーブルの上で多角面体サイコロを使ったあやしげ

な双六プレイに興じる友の姿が。通りがかりの生徒達のいぶかしげな視線の渦

中に割って入るほどの度胸も矜持も友情も持ち合わせていないケンシロウは、

その場はすごすごと無関係者を装い立ち去るのであった。 

(この項つづく)




[投稿者:枝雀王]
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