※「王立宇宙軍 オネアミスの翼」STORY

●物語の舞台

 物語の舞台となるのは、作品中では「地球」と呼ばれるどっかの星、つまり

我々の住むこの世界と極めてよく似た異世界(別に魔法やドラゴンは出てきま

せん)です。この世界のテクノロジーのレベルはまぁ大体、我々の世界での

1950年代レベル、つまりやっとジェット飛行機や核兵器が実用化されたくら

い、パソコンやインターネットは当然ないけど、都市の日常生活はまぁ現代と

ほとんど変わらないといって良いでしょう。

 本編の主人公、シロツグ・ラーダット君は、そんな世界にある「オネアミス

王国」の「宇宙軍」に属する若き士官です。


●「宇宙軍」とは

 この「王立宇宙軍」は、いちおう軍とは名が付きますが、宇宙開発のための

研究機関であり、そもそもは近代化で権威の傾きかかった王室が宇宙開発って

いう事業で権威をひけらかすために作ったもんです。この宇宙軍も設立当初に

はそれなりに優秀で志ある人材が揃ってたみたいなんですが、宇宙開発のため

のロケット打ち上げだのの実験は失敗が相次ぎ、おかげで予算も乏しくなる一

方、それでなくても「ホントに宇宙になんか行けるの?」「宇宙開発なんて何

の役に立つんじゃい?」とゆー世間の無理解もあって、シロツグ君たちは正規

軍からは落ちこぼれ扱いされ、実際、怠惰かつ無気力な生活を送っていました。


●シロツグ、宇宙飛行士に志願する

 さて、そんなある日、シロツグ君は友人の若き宇宙軍士官たちと夜の街に遊

びに出て、遊郭や女郎屋の密集した繁華街で、人類の罪を説く宗教のビラを配

る女の子、リイクニに出会う。日常に嫌気のさしてたシロツグは人生相談のつ

もりでリイクニのもとを訪れ、リイクニに職場の愚痴を語る。ところが、純真

無垢な(言い換えればアホな……あ、これバカにして言ってんじゃないッス

よ)リイクニは目をきらきらさせながら、「素晴らしいお仕事ですね、星の世

界に出かけていくなんて!」なぁーんて答える。そんなリイクニを前に単純か

つノー天気なシロツグ君は急に喜び勇み、折しも宇宙軍で持ち上がった初の有

人人工衛星打ち上げの宇宙飛行士に志願。

 初めの内は「やめとけ、親が泣くぞ」なぁーんて言ってた宇宙軍の仲間たち

もシロツグの(半ば勘違いな)熱意に引っ張られ、或いは自らの志を思い出し

たかのように、共に訓練とロケット開発に身を投じて行きます。


●初めて現実に直面するシロツグ

 しかぁし! ここで初めて直面する厳しい現実の壁の数々、ロケット建造中

の事故で死人は出る、「ロケット作るより難民に喰いもんをよこさんかい!」

と叫ぶ世論の存在を知るシロツグ、さらに、元がノー天気なお調子者だったシ

ロツグは、純真無垢だが潔癖すぎて世の中と折り合いの付けられないリイクニ

とは次第にうまく行かなくなってゆく……

 しかも、オネアミス王国の貴族・政治家上層は有人人工衛星計画を本気で志

してるわけではなく、隣国の軍隊を挑発してわざとロケットを襲わせ、外交的

駆け引きをするための囮にロケットを使うつもりでいるという始末……

 自らが始めた事ながら嫌気のさしてきたシロツグは軍を出て一人街を彷徨い

出し、リイクニの元へ……しかし何の悟りが開けるわけでもない。更に、ロケ

ット打ち上げを妨害せんとする隣国の暗殺者に襲われるシロツグ。彼はこの一

連のドタバタを通じ、初めて自分がやってることの意味を真剣に問う……。


●そして、彼は飛ぶ

 暗殺者を返り討ちにし、何だか吹っ切れたかのようなシロツグはロケットの

発射場へ、リイクニとの間に穏やかな別れを告げるシロツグ。

 ところが、まさにロケットが打ち上げられんとする直前、隣国の軍隊は国境

を越えロケット奪取への総攻撃を開始、それまでシロツグたちの尻をひっぱた

いてきた宇宙軍司令官のカイデン将軍がもはや打ち上げは無理か、と意気消沈

し諦めかける中、ロケット発射台のシロツグは断固として「俺ぁやめないぞ、

死んでも上がってみせる、嫌になったヤツぁ帰れ」と叫ぶ。

 地上の戦火の中を天に向けて飛び立つ世界最初の有人ロケット。

 果たして、逡巡を振り切ったシロツグが星の世界に昇り、そこで目にするも

のは……



※「王立宇宙軍 オネアミスの翼」主な登場人物

●シロツグ・ラーダット(声:森本レオ)

 本編の主人公。設定上の年齢は21歳。金持ちでもなく貧乏人でもない中産階

級の家に生まれ、少年時代はジェット機のパイロットに憧れるが、学校の成績

が足りず(!)、落ちこぼれ集団の「王立宇宙軍」に入る。

 リイクニとの出会い、宇宙飛行士への志願以前は怠惰な日常を送るノー天気

でお調子者な若者であった……って、彼の姿は紛れもなく製作スタッフ自身、

そして現代を生きる我々自身の姿なのである。

 アニメの主人公としては劇的なヒーロー性は弱いし美形でもないが、森本レ

オの声のとぼけた演技によって実に味のあるキャラクターとなっている。 


●リイクニ・ノンデライコ(声:弥生みつき)

 設定上の年齢は17歳。親戚の子であるマナと二人で生活しており、物語の途

中で借金取りに家がブチ壊されマナともども教会に寄宿するようになる。人類

が文明を手にしたのは災いであったという教義の宗教を頑なに信じ、敢えて遊

郭や女郎屋の立ち並ぶ繁華街でそのビラを配るという少女。

 不遇な幼児期を送り、周囲の人々と打ち解け難く、独自の信念に基づいて生

きており、男の主人公にとっては、それまで世間との葛藤を直視して来なかっ

た自分の存在を見直すきっけを与える存在となる、というヒロイン像は、形を

変えつつ「ふしぎの海のナディア」のナディア、「新世紀エヴァンゲリオン」

の綾波レイ、惣流アスカ・ラングレーに引き継がれたものと思われる。


●マナ(声:村田彩)

 リイクニの許で一緒に暮らしてる女の子、年齢は4、5歳ぐらい。もとはリ

イクニの親戚の子だったようだが両親は不和で幼い頃から荒んだ家庭で育って

きたらしい。徹底的に無口で表情に乏しく、かと思えば突然泣き出すという性

格でシロツグを参らせる。しかもリイクニには本心からなついている様にも思

えない。

 物語の終盤近く、ロケット発射場に向かう前のシロツグに彼女が初めて笑顔

を見せる場面は非常にホッとさせられる。

 WIN95版のエヴァンゲリオンのゲームに同名の女性キャラが出るそーだ

が、たぶん関係はないと思う。


●カイデン将軍(声:内田稔)

 宇宙軍総司令官、つまりシロツグの上司。設定上の年齢は53歳。物語の序盤

ではシロツグ達やる気のない若い宇宙軍士官たちの姿に憤りつつ彼らの尻をひ

っぱたく役であったが、物語中盤では王国国防省・貴族上層の本音を知って愕

然とし、それでも意地をかけて有人人工衛星計画を貫徹しようとする。

  若い頃は軍人ではなく歴史家を志していたが、戦争に巻き込まれやむなく軍

人となり、人類の進歩というものに一度幻滅しながらも宇宙軍に身を転じ、半

生を宇宙開発に捧げてきたという人物。彼はもう一人の老いたシロツグである。


●指導官(声:飯塚昭三)

 宇宙軍訓練教官。設定上の年齢は41歳。名前はなく、シロツグたちからはた

だ「ハゲ」とか「脳味噌筋肉」と呼ばれてる。筋骨隆々の怖いおっさん。

 声を演じた飯塚昭三氏は「人造人間キカイダー」のハカイダーほか70年代以

来悪役キャラクターの声で有名、鬼軍曹役はまさにハマリ役であった。


●グノォム博士(声:大塚周夫)

 オネアミス王国「宇宙旅行協会」におけるロケット開発の中心人物、宇宙軍

と協力して有人人工衛星用のロケット建造に当たる。設定上の年齢は51歳。シ

ロツグにとっては半ばおっかないオヤジながら信頼の置ける職人的技術者であ

ったが、自分の造ったロケットエンジンの実験中に事故死を遂げる。

 声の大塚周夫は「ルパンV世」第一作版の石川五右衛門役ほかで有名。


●マティ(声:曽我部和行)

 シロツグ以外の8人の宇宙軍士官の中で最もシロツグと行動を共にしてる場

面の多い男。イメージ的にはシロツグより二枚目で世渡りがうまく女の子にモ

テそうなタイプであり、一見ケーハクに見えて重要な局面で主人公にキーとな

る助言よこす、というキャラクターは「ふしぎの海のナディア」のサンソン、

「新世紀エヴァンゲリオン」の加持リョウジに引き継がれたものと思われる。


●貴族(声:納谷吾朗)

 オネアミス王国国防総省のお偉いさん。上京したカイデン将軍に対し宇宙軍

をくそみそにこき下ろしてくれる。

 端役だが、声の納谷吾朗氏は「仮面ライダー」のショッカー首領ほかで有名。


●ネレッドン政務次官

 オネアミス王国と隣接するリマダ共和国のお偉いさん。オネアミス王国の有

人ロケットが自国国境線のすぐ側で打ち上げられると知り、これを王国の軍事

的挑発であるとナンクセをつけ、逆にロケット奪取を画策する。


●暗殺ババァ

 リマダ共和国警察局がオネアミス王国のロケット打ち上げを妨害すべく、シ

ロツグを暗殺するために送り込んだ刺客。ばぁさんに変装しているが実際は中

年男である。

 名前はないが、実際にスタッフ間では「暗殺ババァ」と呼ばれていた模様。


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