※「サウンドリニューアル王立宇宙軍」


鑑賞レポート

●立川シネマシティ篇(11/30)

・超満員御礼! と思いきや……  11月30日(日曜日)、本ページ作者は、日本でも数少ない「THX方式」常 設館の立川シネマシティに「王立宇宙軍 オネアミスの翼 サウンドリニュー アル版」を観に行った。10時からの上映と言いながら9時20分にして既に劇場 の前にはゆうに100人は超えるであろう長蛇の列ができていた。本ページ作者 と同様「いかにも」という感じの眼鏡を掛けた20代の男が圧倒的に多いが、家 族連れやおっさんの客も少なくない。「おおっ、こげん多か人間が今回の『王 立宇宙軍』リバイバルに関心があるとか!?」と驚きつつ喜ぶが、並んでいる人 間の大半は、同じ立川シネマシティで公開されている『もののけ姫』と『エア フォースワン』の客であったようだ(笑)  劇場内では、観客全員に無料で記念品のポスターが配られていた。最近再販 された「王立宇宙軍」のビデオソフト(廉価版・劇場公開時カットされた場面 付きの完全版)のパッケージと同じ、マティの単車と並んだ宇宙服のシロツグ の絵柄のやつである。ほか、劇場内では、今回の「王立宇宙軍 オネアミスの 翼 サウンドリニューアル版」と同時上映のバンダイエモーション新作「音響 生命体ノイズマン」と裏表カップリングになったプレスシート、それに「王立 宇宙軍」最初のLD化の際に初回特典として付いていたブックレット(公開当 時の裏話や各シーンの解説を赤井孝美氏のイラストで紹介した物)などが販売 されていた。  まず「王立宇宙軍」本編の予告篇にあたるパイロットフィルムが上映される。 実際の製作前に作られた「幻のフィルム」って云われてる奴だ。LD版にも収 録されているが、劇場の大画面で観るのは初めてだった。このパイロットフィ ルムは実際の「王立宇宙軍」本編完成の2年前、1985年の4月に完成した物で、 わずか4分のフィルムに2箇月の製作日数を要した、っていう代物だ。BGM にはワーグナーの「ニュルンベルグのマイスタージンガー 第一幕への前奏曲」 が使われている。絵柄は本編に比べ若干作画水準が劣る(色使いが明るく、本 編に比べ「普通のアニメ」っぽく感じられる)が、映像の迫力は素晴らしい。 本編の中でも特にかっこいい場面をうまく凝縮した感じで、これから作ろうと する映画への意気込みを多分に感じさせるいい予告編である(なんか「万博セ ンス」というか「高度経済成長期ノリ」のような雰囲気が微笑ましい)。続い て来年公開予定の「機動警察パトレイバー]V」の予告篇、それに同時上映の 「音響生命体ノイズマン」が流れてから「王立宇宙軍 オネアミスの翼 サウ ンドリニューアル版」本編が上映された。 ●「サウンドリニューアル」の成果  肝心の「サウンドリニューアル版」としての感想(特に音について)なんだ が、本ページ作者の個人的見解を述べさせて頂ければ「音がかっこよくなり過 ぎて却って変」という印象も少々あったか。 ・基本的に、画面上で左側にいる人間が喋ると本当に左から声が聞こえるよう になっている。 ・シロツグが空軍機で初めて飛ぶシーン、クライマックスのロケット打ち上げ シーンではこころなしか本当に足元に振動を感じた。 ・リイクニ宅が取り壊され、シロツグが訓練中に宇宙服のままマティの単車で リイクニ宅に向かう場面(シロツグが「月光仮面乗り」で駆けつけるシーン) では、なんかバイクの排気音が格好良すぎ(苦笑)。手元の設定書ではマティ のバイクは2サイクル2気筒92ccってことになってるそうだけど、最低でも4 サイクルの中型(250〜400cc)以上の音に聞こえるような……むしろ田舎の暴 走族とかが2サイクルの50ccで無理に吹かしたとき特有の「プゥーウウゥゥッ、 ッッパンッパンッパン……」って感じの苦しそうな音にした方がリアルだった のでは? ってのは余計なお世話か。 ・物語後半で、シロツグが記者会見をすっぽかしてリイクニ宅に転がり込み、 リイクニ宅でごろごろしてると、雨の中リイクニが帰ってくる場面は、シロツ グが室内にいて戸が開くと雨の音がして、リイクニが入って戸を閉めると雨の 音が聞こえなくなる……という一連の音響はリアルだった。 ・シロツグとマティが街を歩いていて共和国の放った「暗殺ババァ」に襲われ る場面は、生録で採ったという街の雑踏の音声がやたらリアルだったが、その せいでせっかくのシロツグとマティの会話の音声がいまいち良く聞こえず、俺 としては残念。シロツグが手に金物屋の鍋を持ってて、そこに暗殺ババァの銃 弾がヒットする場面では、元のフィルムでは弾丸が鍋に当たって「カァンッ」 と甲高く間抜けな金属音を立てるのだが、それがリアルに「バシュッ」という 感じに低い貫通する音になっていた。大体、いっくら「オネアミス」世界の銃 器がショボくても拳銃弾が家庭用の古鍋に当たって「カァンッ」なんて云うわ けはないのだが、俺的には、この場面はシロとマティが急にちょっとシリアス な話をしてた所でいきなり「カァンッ」と甲高く間抜けな金属音がしてびっく りして振り返ると暗殺ババァが……という意外性が面白いと思っていただけに 好みとしてはイマイチである。  なお、今回の「サウンドリニューアル版」にはLD版・ビデオCDには収録 されている「劇場公開時カットされた場面」(軌道計算用の巨大コンピュータ の部品を運ぶ車両の荷台に乗ったシロツグとマティの会話)は含まれていない。 ●「生山賀」襲来!  そして山賀博之監督の舞台挨拶だ。映画館の担当者と共に登場した山賀監督、 健康そうな四角っぽい日焼け顔に太まゆげ、なるほどシロツグ=ラーダット中 佐に似てなくもない……(「王立宇宙軍」キャラクターデザインの貞本義行氏 は、シロツグのデザインにあたり「顔はもっと四角くとか、マユ太くしろ、オ ッサンくさくしろとか……。ああ、これは監督に似せれば良いのかなと思いま したね」と証言している)。 ・山賀監督と劇場側の担当者の方の大体の会話内容 ・「立川シネマシティ」では6チャンネルのスピーカがあり、3つは前方の左 右と正面、2つは後方の左右、残り1つは低音のみを再生している。 ・「王立宇宙軍 オネアミスの翼 サウンドリニューアル版」の音声再録に当 たっては、町中や野外に行って数メートル四方からカンマイクを張り巡らせて 自然音を録ったそうである。 ・今回、音声にのみ手を着けたのは「当時の技術で出したくて出せなかった音 を現代の技術でやり直してみた」という感じで「映像に手を着けて直しを入れ ようと考えなかったのですか?」という疑問には、山賀監督は「あの『王立宇 宙軍』は、1987年の3月14日を目指して作った物で、その時代を反映している んだから、一部作り直すんなら新作をやります」と答えた。なお、ドルビー音 源化は今後DVDでは標準となるとみられており、今回の「王立宇宙軍 オネ アミスの翼 サウンドリニューアル版」も当初はDVD化を図っての企画であ ったらしい。  これは本ページ作者の勝手な憶測であるが、今回の「王立宇宙軍 オネアミ スの翼 サウンドリニューアル版」は、後々の展開を考えて、将来普及しそう な最先端の技術は何でも試しておこう、という、いわば練習台のような側面も あるのではないか? ・さて、皆様が一番御期待しているであろう山賀監督最新作『蒼きウル』の話 である。映画自体の公開は2001年になると目されているが、ゲーム・音楽(C D)、小説、まんが、そしてアニメ映画と複合的メディアミックスを狙って各 種の企画が進行中であり、現時点では98年発売予定のゲーム版に向けての音楽 の製作が進行中とのこと。  山賀監督曰く「サイドストーリーから並べて行って」、作品の世界観を作る つもりであり、その中では「映画もまたサイドストーリーの一本」であるとい う。映画と他の媒体は「同一作品世界上での別の物語」という型式になるとの ことであり、つまり例えば「ガンダム」シリーズ上では「宇宙世紀○○〜」と いう、ひとまず「スペースコロニーとモビルスーツのある世界」という前提で 「一年戦争〜逆襲のシャア」とか「クロスボーン・バンガード」とか「0080」 とか「0083」とか「08小隊」とか複数の物語(その都度主人公も主役メカも異 なる)があるのと同じ様な形となるのか? ちなみに「小説版ウル」は山賀監 督自らが書くとのことだ。なお「キャラデザは『ウチでやる分』には貞本だけ ど、広がってったら面白いかな、とも思ってます」とも語っている。つまり、 GINAX版以外の「ウル」アナザーバージョンもあり得るということか?  また「テレビアニメ版はあるんでしょうか?」との問いには、これも「映画 が終わってから」映画とは別の作風で(「王立」の後に「トップをねらえ」を 撮ったように)やるかも知れないとほのめかされている(やっぱ、テ○ビ東○ とキ×グ×レード次第ですかね?)   作品自体に関しては、すでに一部で断片的に語られているが、「王立宇宙 軍」の世界の数十年後を舞台とし、基本的にはスカイアクション物(フリーの ジェット戦闘機乗りが主人公たちであるという)という。山賀氏は「戦闘機の パイロットが、戦争が終わって昔の浪人武士みたいになっている」設定で、物 語は「『用心棒』物です」と語る。ほほう、国家に属さない飛行機乗り? 傭 兵? 義勇兵モノ? 本ページ作者が「フリーの戦闘機乗り(傭兵パイロッ ト?)」という設定を聞いて安直に思い浮かべるのはやはり「エリア88」か 「紅の豚」だが、果たしてどんな志向の作品となるかは未知数である。  山賀監督は断片的なヒントとして「ある部分では凄く進んでいて、ある部分 では凄く古いものが残ってる」世界観で、例えば「最新式ジェット戦闘機のコ クピットのなかに灰皿があって煙草吸いながら操縦してるような」雰囲気であ ると語っていた(まぁ、これはイメージの一つってコトだろう)  なお「タイトルである『蒼きウル』の「ウル」って何です?」という問いに は、山賀監督は「まだ謎です(笑)」と「ふしぎの海のナディア」のエアトン 伯爵のような口調で答えていた。




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