※「サウンドリニューアル王立宇宙軍」


鑑賞レポート

 ここでは、10年振りに復活を遂げた「王立宇宙軍 オネアミスの翼 サウン ドリニューアル版」のリバイバル上映レポートを掲載する。  「王立宇宙軍 オネアミスの翼 サウンドリニューアル版」は、まず1997年 11月2日(日)に渋谷パンテオンにて東京国際ファンタスティック映画祭で公 開、続いて11月22日(土)札幌にて、さっぽろ映画フェスタ ALLGAINAXNIGHT で公開、そして11月22日(土)から12月5日(金)まで東京・立川シネマシテ ィで公開された。
●渋谷パンテオン「東京国際ファンタスティック映画祭」篇(11/2) ※最初の大舞台には「激突対談 王立宇宙軍トーク」でもご協力いただいた河 田拓也氏(うちのHP見て河田先生に執筆依頼したいと思った方、本ページ作 者までメイルください)が行ってきた。以下、河田氏の談話と録音テープから の構成。  11月2日の渋谷パンテオンには、かなり幅広い客層が集まっていたという。 やはり「エヴァンゲリオン」から入った若い層も少なくなかったようだが、一 方、ある客から「アニメには余り関心無いけど『王立宇宙軍』だけは別だよ」 という声も聞こえたとか。  「王立宇宙軍」の他に幾つかのバンダイエモーションで進行中の作品のフィ ルムが公開されたそうだが、結構実験指向の作品が多く(ちょうど「紅い眼鏡」 や「ロボットカーニバル」なんて作品が撮られた丸10年前の雰囲気に似ている?  にしても「たまごっち」で稼いだ金をこんなトコにつぎ込むとはバンダイも 太っ腹というか……)、河田氏は、押井守監督の『犬狼』(映画の「紅い眼鏡」 「ケルベロス StrayDog」漫画「犬狼伝説」の延長上の作品)だけはなんか食指 をそそられたと証言、本ページ作者も同様の印象である。  舞台挨拶には山賀博之監督と、キャラクターデザインの貞本義行氏、飯田− SUEZEN−史雄作画監督、樋口−シンジ−真嗣助監督、そしてバンダイビジュア ルの渡辺繁氏が登場。当時の裏話などが少々語られた。 ・貞本氏は就職6か月にして「王立宇宙軍」製作のために引き抜かれ、岡田斗 司夫プロデューサーに「(今の職場では)給料は9万円もらってます」と言っ たら、岡田氏は「それ以上出す!」と胸を張ったので「王立」に加わり、それ からもらった給料袋を開けたら10万円だったとか。 ・「ガメラ」で今をときめく樋口真嗣氏は「八岐之大蛇の逆襲」(GAINA Xの前身、ゼネラププロダクツ・DAICON FILM製作の16mmフィルム の怪獣映画)で借金を作り、「借金をちゃらにしてやるから」と聞いて「王立」 に参加、岡田斗司夫氏から作品の企画とテーマを延々聞かされ「これから人が 集まってくるに当たりこれからキミもこれを暗記して言えなきゃダメだ」とさ んざん言われ「岡田さん、自ら『ぼくたちの洗脳社会』って本書いてるけど、 あれはそれこそ『洗脳』でした」と語り、場内の爆笑を誘っていた。  いやはや、絵作りや話作りばかりでなく資金繰りや映画会社との交渉もアニ メ製作の立派な仕事だというが、なかなか大変だったんスね。  ……さて、肝心の「サウンドリニューアル版」の音質なのだが、実はこの当 日は映画館側のちょっとしたミスで音響設備が充分に機能しなくて(正面真ん 中のスピーカが鳴らなかったとか)、せっかくの5・1チャンネル新録音声が 十全に再現されなかったという。河田氏は「効果音ばかりうるさくて台詞が良 く聞こえなかった」と語っている。 ●札幌「さっぽろ映画フェスタ ALLGAINAXNIGHT」(11/22)篇 ※以下のレポートは、北海道在住の笹原イタル氏の報告を元に構成させて頂き ました。 「さっぽろ映画フェスタ ALLGAINAXNIGHT」に行ってきました。  開演場30分前に行ってのですが物すごい行列で、映画館自体がそんなに大き くない事もあり、座れるか心配したのですが前売券の人を優先して座らせてく れたので混乱はありませんでした。しかし、当日券を30枚ほど出したらしいの ですが、立ち見の人が25人ほどいたそうです。そして、始まったのが20時45分、 終わったのが6時45分というとてもハードでした。  館内では、UCCのEVA缶や立川での「王立」のパンフや、王立のポスター付き で(プレミア付くぞー!と煽りながら)ビデオCDやDVDの販売をしていました。 まったく商売上手と言うか……  肝心の内容なのですが、「トップをねらえ!」全話、その内5話、6話は映 画版を上映したいと、フィルムを探したそうですが「バンダイ」にもなくてバ ンダイビジュアルの人の御好意でフィルムを焼き直して(?)始めて映写機に 掛けたそうです。  「王立」もサウンドリニューアル版なのですが(山賀監督の希望により)映 画館の方が対応していなくて音的には何か半端でした。しかし、前のやつより はこった音になっています。山賀監督曰く「音饗は一番凝った映画となってる はず!」  次に、山賀監督と切通理作さんの対談。切通先生は12月初旬に「ぼくの命を  救ってくれなかった エヴァへ」(三一書房 1800円)を、出すそうです。 (※本ページ作者注:一説によれば、丸田祥三氏(写真家・切通氏の長年の友 人でもあり洋泉社の「映画秘宝」ほかで切通氏と一緒に仕事をしていることが 多い)、村崎百郎氏(云わずと知れた「鬼畜系」ライター、水声社「ターミナ ル・エヴァ」にも執筆)らとの共著とのこと)  最後に、「EVA」の映画版2本で締めくくられました。 対談では、いろんな事を話していましたが「王立」に関してだけ書きます。 「王立宇宙軍 オネアミスの翼」のネーミングは、企画段階では「王立宇宙軍」 のみだったのですが、スポンサーに「全日空」がついたので「バンダイ」から 「リイクニの翼」にしてくれと言われたが、それだけは止めてくれと抵抗した が「とにかく『〜翼』」にはしてくれと言う事で国の名を「オネアミス」にし て「オネアミスの翼」になったそうです。ですから、以前は「オネアミスの翼」 のロゴが大きかったのですが、ほとぼりが冷めた現在は「王立宇宙軍」のロゴ を大きくし「オネアミスの翼」は副題的扱いになっています。  次に、「王立宇宙軍軍歌」の曲は坂本龍一に「宇宙マーチ」の曲を持ってい って「こんな感じで。」と、言ったのですができてみたら全然かけ離れた曲に なってたそうです。 (※本ページ作者注:「宇宙マーチ」は60年代特撮ドラマ「キャプテンウルト ラ」(「ウルトラマン」の後番組・東映製作)の劇中歌。なんか「パンパカパ 〜ン」という感じのやたら明るくノリ軽い行進曲風の曲調で「♪うーちゅうぅ へっ行っこう、うーちゅうぅへっ行っこう、うーちゅうっのマーチをみんなで 歌おう〜」トカ云う感じの唄だったと思う。アポロ11号の月面着陸(1969年) さえまだ実現しておらず、宇宙開発がキラキラの夢を持っていた古き良き時代 の迷曲である)  最後に「蒼きウル」は、2001年公開予定だそうです。でも、「つい最近まで は2000年と言っていたのですが……。」とは山賀監督本人の言です。 (※以上。笹原様、貴重な報告ありがとうございます)


立川シネマシティ篇

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