OPEN YOUR EYES
YES
★★★
来年(1999年)には結成30周年を迎えることになるYESの最新スタジオ・アルバム。トレバー・ラビン、トニー・ケイがバンドを去り、代わりにマルチ・ミュージシャンのビリー・シャーウッドが新規加入。よって、構成メンバーは前述の彼に、ジョン・アンダーソン、クリス・スクワイア、スティーブ・ハウ、アラン・ホワイトを加えた5人へと変更になりました。
プログレ原理主義派に語らせれば、80年代に大ヒットを飛ばしたイエスなど、イエスであってイエスでは無いということになるでしょう。彼等にとっては「こわれもの」「危機」が最良であって、売れ線を狙ってポップ化したイエス等、悪魔に魂を売り払った異端者集団として捉えられているはずです。
さて節操無い私の場合、「あれはあれ、これはこれ」と曲が良ければ抵抗無く受け入れてしまうのでした。ですから、トレバー・ラビンが主導権を握っていた90125イエスに関しても、何ら抵抗は感じませんし、ABWHも大所帯イエスも(笑って)受け入れることが出来ました。
そもそも私、イエスの醍醐味は分厚いコーラス・ワークと脳天気に明るい曲調とユートピア幻想丸出しの歌詞(ABWHの時に1度だけ、人を非難する歌がありましたが)にあると思っています。頭に馬鹿が付くほどお気楽な「愛の歌」は聴いているとしだいに脱力し、脳がとろけるほどの爽やかさです。
話は今回のアルバムに移ります。
サウンドを一言で言うと、「70年代イエスと80年代イエスの折衷」といったところでしょうか。アルバムトータルとして見ると、80年代的ポップサウンドのフォーマットが主体ですが、そこかしこに70年代の情熱が吹き出しています。
上質なポップテイスト溢れる楽曲に、プログレ的変拍子、フレーズを導入するということは、曲の構造を複雑化すると共に、重層化するという効果も果たしています。
誉めすぎの感もありますが、まあこんなところです。
口うるさいプログレッシャーには受け入れ難いかもしれませんが、マグナカルタレーベルのアーティストや、ドリーム・シアター辺りからプログレを聞き始めた人には良いアルバムかと思います。明るいBGMが欲しい人にも良いでしょう。
KEYS TO ASCENSION
YES
★★(天性の明るさに+★1個)
「イエスソングス」、「海洋地形学の物語」時のメンバーにて再結成。新曲2曲(計30分程)を含めて、旧作をライブにて再録音し、2枚組にてリリース。パート2の予定も有り。 以下、収録曲のリスト。
<DISK-1>
- SIBERIAN KHATRU 10"16
- THE REVEALING SCIENCE OF GOD 20"31
- AMERICA 10"28
- ONWARD 5"40
- AWAKEN 18"30
<DISK-2>
- ROUNDABOUT 8"30
- STARSHIP TROOPER 13"05
- BE THE ONE 9"50
- THAT、THAT IS 19"14
<感想>
ジョン・アンダーソンは天使と会話が出来るらしい。成る程、イエスの明るさはここに端を発しているのだな、ということを解らせてくれる強烈な逸話。 そして、アンダーソンの過去を都合の良いように再構築し、自分の記憶すらもそれに合わせて改編する能力!なんでも、今回の再結成は22年前、「22年後に肉体的にも精神的にも元気でいたならば、また一緒にアルバムを作ろう」と明文し、署名したからとか…。
彼は、どうやって現実世界とコネクトしているんだろう?もしや、天使界と人間界の間を生きる中間的存在なのか??
と、冗談は置いといて、作品の評価。
思っていた以上に気合いの入った演奏で、(オバーダブしているでしょうが)楽曲の再現性も高い。今回このアルバムの為に作曲された新曲2曲も、違和感無く溶けこんでいます。常に新しい可能性を秘めた音楽をして良とするプログレッシャーには物足りなさが残るでしょうが、往年のイエスファンを楽しませるだけの水準は充分に満たしています。80年代のイエスを迎合することが出来なかったファンには良い贈り物と言えるでしょう。
