FIRED
X-Legged Sally
★★★★☆
’96年8月20日、国営ラジオ局の番組の為に、ベルギーのカクタス・クラブにて収録されたライブ盤。
これまではスタジオ・アルバムでのみ、その強烈なサウンドを体験する方法が無かった。だが、待望のライブ盤の登場である。先にリリースされたザ・スミス・カルテットとの共同アルバム「ビレフト・オブ・ア・ブリスフル・ユニオン」の出来が素晴らしかっただけに、期待度は大爆発!といったところ。
オープニングは、4thアルバムの1曲目「アンセム」から始まる。もうここで早くも鳥肌が立ってしまう。そして、2曲目は1stの「Zippo Raid」。メタルなギターに挑発するホーン・セクション、そして軽やかに駆け回るキーボード。それらを引っ張るように突き進むリズム隊達は休むことが無い。ああっ、考えながら聞いていたのでは、彼等の素早い動きに即応出来ない、ひたすら体で感じながら一緒に疾走する。聞き終わったあとには、心地良い体の疲れを感じていた。
これを生で聞くことが出来ると考えると、生きてて良かったと思う。そして、日本公演のあとにX-LEGGED SALLYが発展的解散を遂げると聞くと、その感慨は複雑になる。ロック色の強いA Groupとホーン・セクション主体?なFlat Earth Societyとなるらしい。どちらにもリーダーのピエール・ヴェルマーシュが参加するとのことで、両バンド共に期待度大なわけだが、アルバムに対する出費も2倍というわけだ。うーん、嬉しい悲鳴。
<ライブ体験後>
4月2日、渋谷はCLUBクアトロにて、開演予定時間の8時を少し回ったところで、ライブは開始された。
まずは前座として日本のKIRI-HITOの登場。テクノの快感原則に感化されたハードコア・パンクス、とでもいうような音を出す二人組のユニット。打ち込みのリズムに破壊的なリズムを上乗せし、ギターやベース、足踏みカシオトーンで反復メロディーを合わせて強烈なグルーブを産みだす。暴力的な音圧のサウンドに圧倒されつつ気に懸かったのは、ヴォーカルが浮いて感じられる事、全体のサウンドに対して必要性が感じららなかった。
KIRI-HITOの演奏は30分ほどで終了し、若干のセッティングに時間を要したあとすぐに、X-LEGGED SALLYのパフォーマンスは開始された。始まりを告げるのは、ライブ盤の1曲目と同じく、「Antem:The Land of The Giant Dwarfs」。間を置かず、次々と強力な楽曲が襲いかかってくる。そして、意外にもギターのピーター・ヴェルヴローセンがムード・メイカーで、観客の笑いを誘うパフォーマンスを楽しみながら演じている。
ヴォーカル・ナンバーになるとステージの袖からヴォーカルのテリー・モンデラースが飛び出してくる。年齢不詳だけれど、見た目からすると、かなり若そうだ。周りの超絶プレイに対抗しようと必死に頑張っている様子が微笑ましい。で、ここで気にかかることがあった。ヴォーカル・ナンバーになると、直前までハイテク&ハイパワーで押していたバンドとの印象がガラリと違うものに感じられるのだ。バンド内バンドとでも言った感じだろうか?2つの形態が1つの場で、滑らかに、また臨機応変に変化出来るのならば問題は無いけれど、高度な演奏を行いつつのソレは難しすぎる課題だ。おそらく同じようなことを感じたピーター・ヴェルマーシュは、バンドを2つに分割することを考えたのだろう。僕は、賢い英断だと支持する。
ともあれ、濃密な2時間だった。ここ数年で見たライブの中でも五指に入る、最高のものだった。さらに、バンドが分割すると知っていることから、感慨もひとしおである。でも、次回来日はおそらく2バンドの共同ライブになるんでないの?メンバーもだぶっているし、別々に来日するよりは機材の使い回しの面からも、旅費の面からも経済的だし。
BEREFT OF A BLISSFUL UNION
X-Legged Sally & The Smith Quartet
★★★★
X-LEGGED SALLY、5枚目のアルバム。今作はスミス・カルテットと言う弦楽四重奏団との合作で、3枚目のアルバムと同様にユルティマ・ヴェズの舞台劇の為に製作された。
X-LEGGED SALLYの協力なアンサンブルと、ストリングスの競演。アルバムが発表されることを知った時から、どのような変化を遂げたのか?と毎日の様に夢想していた。そして、実際にアルバムを手に取り、プレイヤーにセットして聞き始めると、予想以上の出来に身震いがした。
強力である。確かに既存の彼等の作品と比較して見ると、今作は異色に写る。しかし、楽曲の出来が、聞くものに有無を言わせぬほどに素晴らしい。この弦楽四重奏との出会いは、実に幸福だったと言える。もう何も言わない。買って、聞きなさい。
THE LAND OF THE GIANT DWARFS
X-Legged Sally
★★★★
ベルギー出身の超絶テクニックバンドX-LEGGED SALLY、日本先行にて発売される通算4枚目のアルバム。
早くも96年最高の傑作登場!もはやこのバンドに拮抗するだけの強度を秘めたバンドは存在しないのでは?クリムゾンですら超えられぬハードルなんぞ、とうの昔に飛び越しているというか(^^;続くバンドとしてはNYのDOCTOR NREVE(アルバム「skin」はメタルファンも必聴!)あたりかな?路線としては今までと同じだけれど、さらに強力な楽曲群。複雑怪奇な曲も力押しで、聞いている者をねじ伏せてしまう。しかも、こだけ難解な曲でもタテノリを維持していて、まさに奇跡!クリムゾンの日本公演にはいかなかった私だが、こいつらが来日した日には、親が死のうが革命が起きようが気にせず、絶対ライブに行くぞ!
Eggs and Ashes
X-Legged Sally
★★★★
X-LEGGED SALLY、通算3枚目のフルレンス。
今までのアルバムと今回の作品は、性格が少し異なる。今作は、ベルギー・ヌーヴェル・ダンス界の鬼才、ヴィム・ヴァンデケイビュスの舞台作品の為に作曲された作品を集めて作られた。しかしながら、本作はアルバム単独でも充分に楽しめるように、楽曲は並び換えられており、トータルでの統一感は損なわれていない。
今までのアルバムと目的が違う為か?今までの作品群とは微妙に異なる色彩を帯びた楽曲が多い。そしてそれが、良い結果を生んでいることは作品を一度聞いただけでも伝わってくる。前作に勝るとも劣らない傑作がまた誕生した。凄い。
KILLED by CHARITY
X-Legged Sally
★★★★
X-LEGGED SALLY、キングレコードより国内デビューにして、トータルで2枚目のアルバム。プロデュースは1stに続き、ビル・ラズウェル。
初めて聞いた時の衝撃は、いまもって憶えている。とにかく打ちのめされた。ここ数年来、とんと御無沙汰だった音楽に対する興奮、クリムゾンとの1stインプレッションに似た感動まで憶えた。
この躍動感。そしてこの革新さ!パンク、メタル、ジャズ、現代音楽、なんでもかんでも鍋に入れ、ごった煮状態で皿に盛る。そして、その盛りつけには奇妙な整合感があり、美しさすら感じる。
前衛にありがちな、入門者には聞き辛いという難解さは無い。そう、ノリはタテ。もう、ノリノリですらある。このバンドを聞かずに死ぬと、人生の楽しみの数%は確実に逃したと思ってもよろしい(控えめに言ってます)
SLOW UP
X-Legged Sally
★★★☆
’93年に発表されたX-LEGGED SALLYの1stアルバム。プロデュースはビル・ラズウェル。
国内盤は2nd、3rdに続いて出されたために、衝撃をそれほど受けることは無かった。とはいえ、驚きである。その完成度がである。1stアルバムには、よく見うけられることが出来る、ある初々しさといったものは無い。あるのは強烈なエネルギー。内圧は最高潮まで高まり、爆発寸前である。しかし、そのエネルギーの放出は、完全に制御されている。もう驚きを超えて奇跡ってものを信じたくなるほどである。能書きはいらない。「黙って聞け!」と言いたい。
