TRIBE
SADIST
★★★
イタリア出身のデスメタル・バンドSADISTのセカンド・アルバム。
デスメタルなんだけどシンフォニック・ロック的な展開を見せる。ヴォーカルを除けばD・シアターの新作と言っても、信じる人が結構いるかも知れない。
演奏はイタリア出身のバンドだけにハイレベル。テクニカルなことを楽々とこなしている印象を受ける。しかし問題はヴォーカル。趣味の問題だけれど、極端なまでに声を潰し、絶叫する歌唱法は許容し難い。ヴォーカルパートが入ると、居心地の悪さを感じるばかりだ。
デスメタルの歌唱法を受け付け、シンフォニック・ロックがお好きなひとのみお薦め。
WoMan
酒匂 ミユキ
★☆
酒匂ミユキの6、70年代の歌謡曲をカバーしたアルバムの第2弾。前作が清志郎や松田優作などの男性ヴォーカルのカバーだったが、今作は内藤やす子や中島みゆき、山崎ハコなどの女性ヴォーカルのカバー集。
いかにもブルースが似合うしゃがれ声の酒匂ミユキは中々魅力がある。しかし、アルバムを聴いているとどうしてもプロデューサーの影がちらつき、気に入らない。酒匂ミユキというとても良い玩具が手に入ったので、お気に入りの歌を歌わせてみました的なイメージが浮かんでしかたがない。女子十二楽坊に似た感じと言えば分かり易いだろうか。確かに歌は新人としては上手い。だが、それは懐メロ番組で歌うオリジナルの歌手を超えるものではない。
カバー3枚目となる海外アーティストのカバーアルバムから数曲聴いてみたが、前述と同じ理由で楽しめなかった。酒匂ミユキ自身が思い入れのある曲をカバーするのではなく、親父の琴線に触れるように狙った選曲を歌わされているようでは、今後のアルバムも正直期待出来ない。現在のプロデューサーから離れ、オリジナルが楽曲で勝負したほうが彼女の声は生きるだろう。
THE SANDS
THE SANDS
★★★☆
ベルギー出身の新人バンド、ザ・サンズ。アメリカのMCAと契約し、いきなりの全世界メジャー・デビュー。
ベルギー産というので、変態アヴァンギャルド、でもノリノリってのを想像して買ったら、まったくの見当外れ。スクリーミング・トゥリーズにキーボード奏者が参入した感じ(といっても解らんか)。大陸的ロック・サウンドに憂いを帯びたヴォーカルが絡み、オルガンやピアノで楽曲に印象的な装飾を加えた、新人ながら味のあるバンド・・・、ならどうか?
購入後、数ヶ月間ヘヴィー・ローテーションで聞きまくりました。地味目ですが、癖になるサウンドです。
Wintersong
Sarah McLachlan
★★(クリスマスなら★+1)
2006年の年末にリリースされたサラ・マクラクランのクリスマス向け企画盤。
旬のある歌という物がある。昨今の流行歌のように賞味期限が短く、旬が終わるのが早いというようなものではない。特定の時代を象徴するような同時代的作品とも違う。そのものすばり、季節限定な歌である。今回のサラのアルバムはずばりクリスマス限定のアルバムで、治められた12曲(曲数もクリスマスにかけられたのだろう)は基本的にクリスマスの歌(ジョニ・ミッチェルの「River」のみちょっと違うが)で、スタンダードなクリスマスソングからちょっとマイナーなもの、サラのオリジナルが1曲などが収録されている。
購入したのは春先。すでに旬を逸脱していたわけで、コートを羽織ることもなく、そろそろTシャツでも寒くないと感じる季節。暖かくなってきた日差しの元、歩きながら聴いていると、なんともやるせない心持ちになってくる。ジョニ・ミッチェルの曲やサラのオリジナル曲はあまり季節感を感じないのだけれど、ジョン・レノンの「Happy Xmas (War Is Over)」は元より、トラディッショナルなナンバー、とりわけ「サイレントナイト」などは、本当にクリスマスあたりでもなければ耳にするのは辛いと感じる。
とはいえ、収められた楽曲の出来は良い。オリジナル曲はもちろん、ピーター・ゲイブリエル風にアレンジされたトラッド「The First Noel Mary Mary」などはとても面白い。寒くなってからのBGMと、旬を外しさえしなければお勧め出来るアルバムだ。
AFTERGLOW LIVE
Sarah Mclachlan
★★★★
サラ・マクラクランのDVDとCDのセットとなったライブアルバム。
DVDは1ステージ(全23曲)をフルで納めつつ、ミュージッククリップを3曲、バックステージの模様、歌詞、写真なども収録されています。CDの方は容量の関係でDVDより納められた楽曲が少なくなっています(15曲)。
Amazonで輸入盤が2000円以下と安かったので、今回もライブCDが出たのかと、特に収録内容も確認せずに購入した。で、届いてみてびっくりなボリュームというか、DVDが主でCDはおまけあつかい。ライブが約2時間でバックステージが12分、ミュージッククリップが3曲分丸々と収録されているのだ。リージョンコードが1で、国産のプレイヤーでは再生出来ないというオチかとも考えたが、リージョンはフリーのようだ。プレイステーション2での再生を確認した。
ステージは森をイメージしたようなセットでとても落ち着いた感じだ。とにかく演奏ありきで、派手な演出は無い。エンターテイメントを履き違えて派手な演出ばかりに凝るライブステージが多い中、このようなステージは純粋に楽曲に集中できるのでとても好感が持てる。
演奏も歌唱も当たり前のように安定しているのは勿論、観客は誰も彼もみんな良い人そうなかんじで、ステージを包む空気はとてもピースフル。DVDを見ているこちらまで和んでくる。
サラファンのみならず、女性ヴォーカル好きには是非買っておいてもらいたい、とてもお買い得な1枚だ。文句なくお勧めできる。
Afterglow
Sarah McLachlan
★★★★
前作「Surfacing」から6年ぶりとなるサラ・マクラクラン5枚目のフルレンスアルバム。
この作品がリリースされるまでの6年間、自らが主催するリリス・フェスティバルや結婚、出産などと、音楽活動以外での仕事で忙殺されていたと思われる。
参加アーティストは以前とあまり変わっていないが、今回はベースにトニー・レヴィンがいる。しかし、粛々と職人的に地味なプレイに徹しており、ほとんど彼の存在感は無い。5曲目のベースラインがとても彼のプレイっぽいのだが、クレジットでは別の人物がベースを担当していた。彼のプレイを期待してこのアルバムを買う人もいないと思うが、レヴィンファンは要注意だ。
ファーストインプレッションはとても地味なアルバムだ。引っかかりがなく、サラリと聞き流せてしまう。しかし、何度も聞き直していくと、味わいが増してくる。単調に思えた旋律も、実はよく考えられたものであることも分かってくる。こうなってくるとサラの術中にはまったようなもので、アルバムはヘヴィーローテンション化している。また、何度聞いても飽きずに気持ちよく聴いていられる。ここで、過剰なケレン味が無いことが幸いしているようだ。
BGMとしても流しているだけでリラックスしたとても良い気持ちになってくる。勿論、聞き込んでも楽しめる。彼女のファンならば必ず買っておきたいアルバムだが、彼女を良く知らないという方にもお勧めできるアルバムだ。殺伐とした世界で一瞬でも心地よくしてくれる清涼剤として、購入してはどうだろうか?
Surfacing
Sarah McLachlan
★★★★
サラ・マクラクラン通算4枚目のフルレンス・アルバム。
enhaced CD仕様になっていますので、Windowsマシンかマッキントッシュをお持ちの方は、彼女のバイオラフィー、インタビュー、演奏シーン(3つ)を見ることが出来ます。(国内版は未確認)
このアルバムを制作するまでに参加したいくつかのセッション、企画盤での経験が見事に生かされている。それは音響に関することであったり、作曲に関する技法であったりと、いろいろなわけだけれど、サラという女性(ひと)は、自分本来の持つ魅力を損なうことなく、それらを巧みに楽曲に取り込んでいる。上手い。
カタストロフを感じるほど強力な楽曲(こればっかりは、才能だけで生み出すことが出来ませんからね)は残念ながら収録されていないが、胸キュンな曲はてんこ盛りだ。彼女を聞かずに、今年のフィーメール・ヴォーカル・シーンは語れないし、語ってはいけない。
現在アメリカでは、彼女が中心となって企画された女性アーティストだけのミュージックツアー「リリス・ミュージック・フェア」が行われている。「ツアーを行っていると忙しいため、他の女性アーティストをなかなか見ることが出来ない。ならば一緒に廻ったらどうか?」という彼女の思いつきから企画されたツアーらしいが、これを実現出来るのだからたいしたものだ。影響力からいって、女性アーティストの最高峰に立っていると言っても良いだろう。
THE FREEDOM SESSIONS
Sarah McLachlan
★★★☆
4枚目のアルバムである「FUMBLING TOWARDS ECSTACY」のアウトテイク集。大半が曲のベースとなったアコースティック・ナンバー。全9曲(シークレット・トラックとして、Hold onのヴァージョン違いが収録されています。8曲目はトム・ウェイツのカバー)また、1曲目がコンピューター用のデータートラックとなっています。(ENHACED仕様普及以前に制作されたので、通常のCDプレイヤーでは必ず1曲目をスキップして下さい。オーディオ機器を傷めます)
最終的にアルバムに収録されたヴァージョンは、確かに完成度が高い。しかし、洗練されていく過程よって、削ぎ落とされていったり、当初とは変質してしまう情報も多い。このアルバムでは、原型とまではいかないまでも、想いが曲として形を成しはじめた初期の様子を伺い知ることが出来る。そしてそれは完成されたものと比較して、簡単に優劣のつくものでは無い。どころか、とても魅力的な輝きを持っている。これはこれで、また素晴らしい宝石の一つ。
<CD-ROM部分に関する補足>
収録されているムービーは10本で、内6本はビデオクリップ。内訳を以下に。
| File Name | Song Title | Album Title or Contents |
| band.mov | バンドメンバーの紹介 | |
| drn2rhym.mov | Drawn to the Rhythm | Solace(2nd) |
| goodenough.mov | Good Enough | Fumbling Towards Ecstacy(3rd) |
| holdon.mov | Hold on | Fumbling Towards Ecstacy(3rd) |
| icecream.mov | Ice Cream | Fumbling Towards Ecstacy(3rd) Video Clipではなく、レーコディング風景を収めたムービー。 |
| intrlude.mov | サラの自己紹介 | |
| paththru.mov | The Path of thorns | Solace(2nd) |
| patti.mov | インドネシア人の子供達と戯れるサラの映像。 | |
| possessn.mov | Possession | Fumbling Towards Ecstacy(3rd) |
| vox.mov | Vox | Touch(1st) |
<注意>
クイックタイムプレイヤーは、そのヴァージョンによって再生出来ない動画も在ります。私の環境では、ムービー単体での再生は可能でしたが、DIRECTOR制御による再生は出来ませんでした。
FUMBLING TOWARDS ECSTASY
Sarah McLachlan
★★★★
サラ・マクラクラン、’94年発売の3rdアルバム。
前作「ときめき」は比較的アコースティックな印象の強いアルバムだった。比較して、今回は生楽器の使用が前作より少ない。かといってデジタルというわけでもない。ピーター・ゲイブリエルのアルバムをきいているような印象を受ける。参加アーティストを調べると、ドラムにジェリー・マロッタが参加している。的外れなファースト・インプレッションでは無かったようだ。
とにかく細部にわたって作り込まれており、凄い完成度。練りに練ったであろうメロディーは、聞き終わった後にも心地良く頭の中に残る。そして、サラの歌声も更に磨きがっかたようだ。
ここまでの作品を創ってしまい、次作はこれを超えることが出来るのか?と考えてしまう。しかし、今作発表以降に彼女が曲を提供したコンピレーション・アルバムなどを聞いてみれば余計な心配であると解る。今、最も新作の聞きたいフィーメール・ヴォーカリストだ。
SOLACE ときめき
Sarah McLachlan
★★★☆
カナダの女性シンガー・ソングライター、サラ・マクラクランが’91年にリリースした2ndアルバム。
サラの名前は以前から良く聞いていたのだけれど、買う決心がつかず今まで買い控えていました。しかし、映画「ブラザー・マクマレン」のエンディング・ロール中に流れる彼女の歌(タイトルは「I WILL REMEMBER YOU」)に魅了され、彼女の作品を買わずにはいられなくなりました。彼女の美声に魅了されてしまったわけです。
まずは、「I WILL REMEMBER YOU」が収録されたアルバムを探し始めました。そして、おそらくこれだろうと思って購入したのが2ndアルバムにあたる「ときめき」。「貴方を忘れない」というタイトルの曲が収録されています。
CDをプレイやーにセットし、まずはお目当ての曲をと、聞き始めました。しかし流れてくるメロディーはまったく聞き覚えの無いもの。慌てて原題を見ると、「I WILL NOT FORGET YOU」と書かれています。思いっきり外してしまったわけです。ちょっと、気分にブルーが入ってしまいました。
ところが、次に収録された「ロスト」という曲のイントロ聞いたところで、モヤモヤは一掃。良いメロディーじゃないですか!アコギ1本から導かれるのは、取り肌ものの歌声。おもわずときめいてしまいました。
翌日、彼女のアルバムを全て購入に走ったことは、言うまでもありません。
TOUCH
Sarah McLachlan
★★★
フィーメール・ヴォーカル・フェチスト必聴のサラ・マクラクラン。その彼女の1stアルバム。本作は弱冠20歳の時に製作されました。
幼少の頃から正式なヴォイス・トレーニングを受けているだけあって、歌の巧さは特筆もの。さらに、声質も文句の付けどころが無い美声で、嫌味なほどに欠点が無い。作曲も、相当の完全主義者らしく、細部まで作り込んでいる。
若干 20歳の若さでこの完成度、ほんと恐ろしい<年で判断するのもどうか?と思うが。
LIVE!
SCREAMING HeADLESS TORsoS
★★★☆
スクリーミング・ヘッドレス・トーソズ(以下SHT)が、’96年9月8日、9日、ニューヨークはニッティング・ファクトリーにて行ったライブを収録。
1987年の2月、ニューヨークにて薄汚れてはいるが志は高い小さなライブ・ハウスが産れた。マイケル・ルドルフという青年によって開かれたその店は、積極的にアンダーグラウンド・シーンへの支援を行うことで、他店との差別化を図った。そしてその試みは成功し、自身の音楽レーベルを持ち、店舗も大きく拡張されることとなった。
現在、このライブハウスでは様々な音が鳴り響いている。DOCTOR NERVE、チボ・マット、ヴァーノン・リード、etc。音楽性も雑多なこれら一群のバンドは、どれも面白いこと、何か新しいことをやろうとしているという共通項でくくることが出来る。、SHTもそんなバンドの一つで、このシーンを理解する為の良質なサンプル。ジャズ、ファンク、ロック、なんていう境界は軽々跳び越し、ただ音楽を楽しむために曲を奏でる。そんな演奏者側のポジティブな姿勢は、聴衆にも感染するらしく、聞いているだけで、こちらの気持ちもほぐれて楽しい。ある意味健全なこの音楽シーンを、私は一ファンとして、いつまでも残って欲しいと望む。
DUST
Screaming Trees
★★★☆
スクリーミング・トゥリーズ4年ぶりのニュー・アルバム。何でも4年間の間に一度1枚のアルバムを完成させたのだが、それを破棄して今回新たに作り直したらしい。
シアトル出身ということで、同郷のバンド達と同様の物差しで比較されるという不当な評価を受けたがために、正しい評価の与えられなかった不遇のバンド。アルバムの出来が良かっただけに、当人たちはかなり憤っていたみたい。だから今回のアルバムに対する意気込みは相当のものだということを想像するのは難しくないことだ。とはいえ、こっちまで意気込んでしまうと肩すかしを食らうのが今回のアルバム。ゆったりとした気持ちでグラス(もちろんバーボン)片手に聞けば、酒のように腸の底に染みてくるはず。(とは言っても私は禁酒のため、ラネガンの美声に酔うほか無し。
FANTASTIC SPIKES THROUGH BALLOON
Skeleton Key
★★★
ニューヨークはニッティング・ファクトリーの周辺からデビューした、新人バンドの1stアルバム。メンバーには、元ラウンジ・リザーズや、BUTTER08な人もいます。
どうもこのバンド、ニッティングファクトリー周辺のアーティストを、鼻持ちなら無い高慢な輩として嫌っているらしい。そして、ビースティーボーイズのマイク・D率いるグランド・ロイヤル・レーベルのことも嫌いらしい。っていきなりゴシップ。
その割に、いかにも雑食なNYサウンドの典型なような気がする。1曲目あたりなんて、ヴァーノン・リードのソロ・アルバムに入っていそうだし、他の曲もどこかで聞いたことがあるなあといった既知感を覚える。かと言って、オリジナリティーの片鱗も無いのかと言うと、そうでも無い。ある程度の独自性は確立している。ただ、その独自性が強く主張されてる訳ではないので、あまり私の耳には訴えかけてきませんでした。
適度なポップ感を有しつつ、アバンギャルドな音楽性はジョンスペンサー周辺のファンにもお勧め出来るでしょう。
DIABLOUS IN MUSICA
SLAYER
★★★★
レーベルをBMGからソニーに変更し、4年振りに制作されたSLAYER7枚目のフルレンス・アルバム。DRUMがジョン・ディッチから、前任のポール・グスタフにチェンジしています。
ヘヴィー・メタルと言われてどのバンドを思い浮かべるかは人それぞれだと思うが、直球勝負のHMというと、私はSLAYER、TESTAMENTあたりがまず最初に浮かぶ。華麗さなどいらない。重厚なリズムと、ただひたすらに格好良いリフ、それが重要だ。意図的に作られた泣きのメロディーなんて糞食らえだ。
暗雲深く垂れ込んだような世界で、地べたを這いつくまわるように生きることを余儀なくされた者達の咆哮。これが私の純粋な正統派HMから連想するイメージ。このイメージに合致するのが前述のバンドあたりなのだ。
このSLAYER7枚目のアルバムでは、僕の理想とするHM世界が展開されている。ツインギターならではの絡み合い、美しいがHEAVYなソロ、などを聞いていると、嬉しくて顔がほころんでしまう。
格好良いということを、あまり過剰に追求すると陳腐になってしまう。ギリギリのあたりで踏み留まってこそ、素晴らしい作品に仕上がる。このアルバムも、ギリギリで格好良い。無意識にヴォリュームをガンガンに上げてしまうような作品だ。
SLAYER信者は勿論、HMをこよなく愛する人は必聴のアルバム。
ADORE
Smashing Pumpkins
★★★★
音楽性を一新しての、スマッシング・パンプキンズ通算4枚目のフルレンス・アルバム。
ハードなギターは鳴りを潜め、アコースティックなサウンドとエレクトリックなサウンドが全体を支配している。
静かなる激情とでも言おうか、轟音に頼るではなく曲の展開や内容によって、シリアスな雰囲気を醸し出している。この点は好感も出来るし、以前よりもサウンドとヴォーカルの声質が合っているように感じられ、好ましい。彼らの最高傑作と言いきってしまおう。
イギリスのバンドならいざしらず、アメリカのバンドに良くこんな音が出せたと関心もする。
一聴すると地味に聞こえる楽曲が多いかもしれない。しかし、その根底には豊かな感情のうねりが感じとられる。じっくりと聞き込むことによって、理解出来るようになるアルバムだ。お薦め。
’97年、電撃的解散を遂げたセパルトゥラ。今作は、そのバンドのヴォーカリストであったマックス・カヴァレラの結成した新バンドSOULFLYのデビューアルバム。
一聴すれば、このアルバムがセパルトゥラのラスト・アルバム「ROOTS」の延長線上にあることが分かると思う。そして、重さ、グルーヴ感、メロディ等、全ての面においてセパルトゥラを陵駕していることにも気が付くだろう。一周り大きいという表現がぴったりする。確かに、多彩なゲスト陣に依るところも大きいのだろう。しかし、デビュー作でこのようなアルバムを出すとは脅威的ではないだろうか?それは、他のミュージシャン達がバンド解散直後に制作したアルバムの多くがつまらないという事実からも証明されるだろう(Bjork等の例外も多いけれど)。
とはいえハードコア。聞く人を選びます。セパルトゥラという言葉にピンと来ない人は買わないほうが良いでしょう。
FEEL EURPHORIA
Spock's Beard
★★★
スポックス・ビアードの通算7枚目となるスタジオアルバム。初回限定のボックスセットは本作のCDの他に、彼らの所属するレーベル(INSIDEOUT)のアーティスト達の曲を納めた、プロモーションCDが1枚入っています。
前作を最後にメインヴォーカルであり、メインのソングライターでもあったニール・モースが脱退してしまいました。そこでバンドは今回のアルバムを制作するにあたり、新規にメンバーを加入させることは無く、ゲストでニールに歌ってもらうようなこともしませんでした。なんと、ヴォーカルパートはドラムのニックが担当することになりました。元々このバンドはコーラスワークが巧く、誰がヴォーカルと取ってもおかしくは無いのですが、よりによってドラムですか。スタジオ内でのヴォーカルワークならば歌うことだけに専任出来ますが、ライブではどうなんでしょう。ドラムセットの側にマイクスタンドを立て、椅子に座りドラムを叩きながら歌うことになるのでしょうか。楽曲の構成を考えないと、ラフな歌い方しか出来ないような気がします。実際、ドラムが歌うことを前提に楽曲が練られているなぁと感じる箇所が多々ありますので、大丈夫とは思いますが。
さて、今作の内容はと言いますと、のっけからハードロック調のナンバーで始まり、新生スポックス・ビアードをアピールするものとなっています。全体的にロック色が強く打ち出されており、ポップ色が減衰しています。ポップテイストはニールが持ち込んでいたことがこれで良く分かります。また、これまでの作品はインターミッション時に行われる各楽器が競うように複雑で激しいインタープレイを繰り広げたわけですが、これもこれまでと比較するとかなり精彩を欠いたものとなっています。これも、ヴォーカルのみではなく、マルチプレイヤーとして八面六臂な活躍をしていたニールが抜けたことによるものと思われます。
と、否定的なことばかり書いてしまいましたが、これまでのスポックス・ビアードと切り離し、改めて聞き返してみると、これはこれで水準以上の出来に仕上がっている(ジャンルとして)プログレッシブなアルバムと言えます。十分に楽しめる作品であることは保証出来ます。バンドのコアなファンには予想以上の変化で、素直に聞き辛い作品かもしれませんが、プログレファンならば、買って損はしないでしょう。
SNOW
Spock's Beard
★★★☆
スポックス・ビアードの通算6枚目となるスタジオアルバム。初回限定のボックスセットは基本のCD2枚+1枚(デモやライブ、カバー曲などを収録)の3枚組となってる。
まず書いておかないといけないことは、今作がバンド結成以来変わることの無かったオリジナルメンバーで制作されたアルバムとしては最後であるということ。バンドのメインソングライターであり、ヴォーカルでもあるニール・モース氏は今作を最後にバンドを脱退してしまった。バンドは存続していくとのことだが、中心人物が抜けたことによりサウンドの変質は避けがたいこととなるだろう。しかし、残るメンバーの一人は彼の兄弟であり、他のメンバーとも家族同然に付き合っているからゲスト参加の可能性もある。それほど心配することでも無いかもしれない。
さて、今作はバンド初の2枚組アルバムであり、初の物語を持ったコンセプトアルバム、というよりロック・オペラとなっている。THE WHOの「Tommy」などと同系統の作品と言える。
ストーリーはアルビノの男性SNOWの生涯を辿るものとなっており、彼の波乱に満ちた人生が語られていく。
2枚組のコンセプトアルバムというと、前述のTHE WHOの「四重人格」やGenesisの「幻惑のブロードウェイ」が頭に浮かぶが、どちらにも言えることは楽曲の一つ一つを取れば確かに良い曲があるのだが、トータルで聴いていくと冗長過ぎ、通して聴くのは辛いということ。メロディーメーカーとして卓越したセンスを持つスポックス・ビアードもご多分にもれず、2枚で2時間近くあるアルバムを通して聞き込むのには辛いものがある。ただ、聞き流す分には耳障りの良いメロディーが心地良くリラックスして鳴らせておける。
ロックオペラはまず語るべき物語があり、音楽と物語を紡ぐ歌詞の比重を比べた際、どうしても歌詞の方に重きがおかれる。物語と音楽の関係(構成)を相当練り込み、必要最低限の構成要素を絞り込んでいけば良い物(例えばQUEENSRYCHEの「Operation:Mindcrime」)が出来ることもある。しかし、優れた作曲家が優れた物語作家であるとは限らないわけで、結果、内容としては凡庸なものになってしまうことが多い。Spock'sの今回のアルバムが凡庸な作品であるとは言わない。しかし、彼らのこれまでのアルバムの中の楽曲と比較した場合、今作に収められている楽曲の多くはどうしても見劣りしてしまう。プログレを志すミュージシャンとして、一度はやっておきたかったコンセプトアルバムを勢い作ってしまいましたという印象を受ける作品だ。どうしても語っておきたい物語であるというほどの意気込みを作品からは感じとることが出来なかった。
ちょっと辛口な採点だけれど、彼らのファンならば決して買って損は無いアルバムと断言出来る。彼らのアルバムを未聴の入門者ならば、前作「V」か3枚目あたりを勧める。
V
Spock's Beard
★★★☆
アルバムタイトル通り5枚目のスタジオとなる、SPOCK'S BEARDのフルレンス・アルバム。LIMITED EDITIONとなっており、変形紙ケース仕様で、アルバムの制作風景を収めた動画ファイルも収められています。(Windowsで読み込むとAVIファイルが入っていました)
最近は小粒な楽曲が中心だったSPOCK'Sだけれど、本作ではアルバムの最初と終わりに、それぞれ16分、27分といった大作を納められています。また、セカンドアルバム「BEWARE OF DARKNESS」に収録されていたジェントル・ジャイアントを強烈に意識される楽曲「THOUGHTS」のPart2となる楽曲「THOUGHTS PART2」も収録されています。
ほぼ1年周期と安定したペースでアルバムを発表するSpock's。楽曲も安定していてムラが無く、安心して聞き込みことが出来ます。もちろん、それは曲が単調ということではありません。緩急の激しい展開は、シットリとメロディーを聴かせることもあれば、スリリングな展開で熱くさせることもあります。長い曲でも通して聞かせ、飽きさせることがありません。
年に1回のお楽しみアルバム。イエスやジェントル・ジャイアント、ジェネシスを連想させる部分も、先達達へのオマージュゆえ。しっかりと、スポック節というものも確立されているし。って、スタジオ盤を5枚以上出した彼らも、すでに大御所ですね。お奨め。
DAY FOR THE NIGHT
Spock's Beard
★★★
通算4枚目となる、アメリカ出身のスポックス・ベアードのフルレンス・アルバム。
作品から受ける印象が前作に酷似しているため、インパクトは少ない。これまでに積み上げてきたスタイルを援用することにより、作品を構築しているという感じ。
しかし、相変わらず歌メロが良く、聞き易い。バンドのアンサンブルも絶妙に歌と調和し、無理な展開も無いので、自然と耳に馴染む。楽曲によって与えられる心地よさは、ほかではなかなか味わえるものではない。
よって、今回もヘヴィーローテーションの仲間入り。飽くことなく、何度も聞いている。お薦め。
THE KINDNESS OF STRANGERS
Spock's Beard
★★★★
日本人キーボード・プレイヤーRYO OKUMOTOを擁する、アメリカ産プログレバンド(5人組)、SPOCK’S BEARDの3rdアルバム。
70年代の英国産プログレッシブ・ロックの良質な部分を集め、モダンな感性というフィルターによってろ過する。そして、漉されてきたものを優れたポップセンスによって加工すると、SPOCK’S BEARDの音楽が出来あがる。
クイーン、イエスを髣髴とさせるコーラスワークに、ジェントルジャイアント的な複雑でいてメロディアスな楽曲。UKを思わせるようなテクニカルプレイを聞かせたかと思うと、極上のポップセンスによる歌メロを聞かせたりもする。
要所要所に挟まれるメロトロンは、プログレ者の心を歓喜させる。ハモンドオルガンの奏法も、お見事の一言につきる。
前作までの大作主義から一転し、今作では短めの楽曲中心となっています。そのどれもが完成度が高く、アルバム全体で評価しても、過去最高の仕上がりだと思います。捨て曲なしで、どの曲も聞き所が多くて素晴らしい。とても聴き応えのあるアルバムです。また、バンドの入門用としてはこの辺がお奨めだと思います。
BEWARE OF DARKNESS
Spock's Beard
★★★
’96年にリリースされた、SPOCK’S BEARDの2ndアルバム。
今回より、前作では他のアーティストとのツアーのためにレコーディングに参加できなかったリョウ・オクモト氏が曲作り&レコーディングに全面参加しています。」彼が担当するのはハモンド・オルガンとメロトロン。前作でキーボード全般を担当していたニール・モーズは、今作からシンセサイザーを中心にプレイしています(勿論、メインヴォーカル)。ですから、キーボード担当が二人となり、その使われ方はより多様となりました。
オクムラ氏によるオルガンプレイは聞きどころも多く、前作より更に楽しめるようになりました。
ちなみに、今作のタイトルで1曲目に収録されている「BEWARE OF DARKNESS」はジョージ・ハリスンのカバー曲。ニール・モースのお気に入りであるということと、前作がLIGHTで、今作はDAKNESSと対比も良いということで収録したとか。
しかし、2曲目の「THOUGHTS」のコーラス部は、おもいっきりジェントルジャイアント入ってますね。オマージュでしょうが、これはやりすぎかもしれません。でも、よくもまぁ、このコーラスワークを模倣出来るなぁと関心する思いの方が強いです。
楽器の演奏だけでなく、コーラスワークも巧みというあたりは、バンドにとって強い武器だ思います。楽曲の幅が増えますから。
また、コーラスワークが巧みなバンドって、陽のバンドが多いと思いませんか?イエスなんかは、その代表格ですね。あの底抜けの明るさは、ジョン・アンダーソンがユートピア幻想の超楽天主義からくるものだとは思いますが(ABWHで一度だけ恨み節を歌ったことがありますけれど)。陽のバンドを聞くと、滅入っていても気分が晴れて来るので、メンタルのカンフル剤として、効能高いです。私は結構暗鬱な音楽を聞くので、この辺を聞くことは、精神のバランスを保のに一役買っています。私には、決して手放すことが出来ない音楽の一つだと思います。
’95年にリリースされた、SPOCK’S BEARDの1stアルバム。ライナーにキーボードの奥村氏は今作後に加入したと書かれていますが、録音の際に他のバンドのツアーで参加出来なかっただけというのが事実で、アルバム発表以前からバンドに参加しています。勿論、曲作りにも勿論参加しています。録音時は、彼の不在を埋めるべく、楽曲のアレンジが大変だったそうです。
全4曲でトータル57分(日本盤には+ボーナス1曲)と大作中心な構成は、なんともプログレ者の心をくすぐるではありませんか。しかも2曲は組曲となっています。
また、ジャケットも、いかにもといったプログレ的なしろもの。
サウンドも過去のバンドへのオマージュ的なものが多く、ノスタルジックな思いを掻き立てられます。しかし、懐古的なサウンドかというとそれだけでは無く、随所にモダンな面が顔を出しています。
ここはイエス、ここはジェネシス、あれはジェントル・ジャイアントといった、明らかに前述のバンドからの引用めいた旋律が出てきますが、オマージュ的な面が強く感じられるため、安易にコピーバンドのようなレッテルを貼ってはいけません。トータルで見るとどのバンドとも似ていない、SPOCK'S BEARDワールド独自の世界が顕れてきます。
文中に出てくるバンドのファンは勿論、シンフォニックロック愛好家、ジャズロック愛好家にもお勧めのアルバムと言えます。
SQUAREPUSHER通算5枚目となるフルレンスアルバム。
前作はこれまでを総括するような内容のアルバムでしたが、今回は曲調が変化しています。
エレクトロニックな音楽では、とかくヒューマニックな要素が薄れがちになります。そこでこの辺が気になるアーティスト達は、ヒューマンヴォイスなどのアナログな要素を加味して、味付けを変えるなどの工夫を行ったりします。
SQUAREPUSHERの今回のアルバムでもその辺のアナログなものが導入されているのですが、それらの使われかたはアナログなものをアナログなまま組み込むのではなく、エレクトロニックな音楽の一要素として、他と代わりのない一素材として用いられています。従って、ヒューマンヴォイスが聞こえてきたときも、そこで和んだりすることがありません。逆に不安感を煽ったりすることまであります。
楽曲はとても未整理な印象を受けますが、トム・ジェンキンソン(=SQUAREPUSHER)の中では、至極自然な形での表現なのかもしれません。彼の内的世界がもろに発露されているかのような印象さえ感じます。かといって、内省的というわけでもありませんが。
SQUAREPUSHERの初期のアルバムが好きという人には、なかなか受け入れがたい作品でしょう。あのような突き抜ける爽快感はありません。実験色の強い3,4枚目や、エレクトロニックな要素の多いミニアルバムが好きな人ならば、違和感なく聞けるでしょう。個人的には買いのアルバムですが、人に勧められるかは微妙。
SELECTION SIXTEEN
Squarepusher
★★★
トム・ジェンキンソン君のSQUAREPUSHER名義では通算4枚目となるフルレンスアルバム。
全作ではマイルス・デイビスばりのDeepなJazz世界をエレクトリック的に展開した彼だが、今作ではその世界のみでなく、それ以前に彼が展開していた音楽をも含め、全てを総括するようなアルバムをリリースしてきた。収録された楽曲の制作年代にばらつきがあるということも、この印象を受ける一因となっている。
ということで、1stや2ndアルバムで展開されていたような、耳に馴染みやすい楽曲もいくつか収録されているので、最近彼の作品に拒絶感を感じていた方達にも迎え入れられるアルバムといえる。特に前半は初期の作風の影が濃い。 後半に入ると、サウンドエフェクト中心の実験的な作品が幅を利かせ始める。メロディーやリズムすら無い曲には、馴染めないと感じる人も多いだろう。しかし、この世界を否定しては、トム君の世界観の全体像を掴むことは出来ない。否定しなくても掴みきれないほど大きな世界なだけに、尚更である。
今作を一つの区切りとして、自作では更に深化&進化した世界を繰り広げてくれるらしい。今後の活躍に最も期待を抱くアーティストの一人だ。
MUSIC IS ROTTED ONE NOTE
Squarepusher
★★★★
SPUAREPUSHER名義としては3枚目にあたる、フルレンス・アルバム。
今作はこれまでの作品とは切り離して聴いたほうが良い。まず、ドラムン・ベースのリズムは完全に捨て去られている。生音の使用率も飛躍的に増加している。
曲の印象は、マイルス・デイビスが、エレクトリック・マイルスと呼ばれた時期、’68年の「IN A SILENT WAY」リリースから始まった、偉大な実験のそれに音が似ている。しかし、トム・ジェンキンソンはマイルスが才能あふれるミュージシャン達との競演によってなしとげたものを、一人で行っている。なんだ、マイルスの焼き直しかと思う事なかれ。なんと、多重録音にも関わらず、各楽器が激しいインタープレイまで繰り広げているのだ。フリージャズというとてつもなくアナログなフォーマットを、デジタルな技術を使い、一人で再現している。これは凄い。なんという才能だろうか。恐るべし、トム・ジェンキンソン。彼の今後の活動からは、目を離す事が出来ない。
BURNINGN’N TREE
Squarepusher
★★★★
日本独自の企画編集盤。UKのインディーズ・レーベル、スパイマニアからリリースされた音源5曲、The Duke of Harringay名義でリリースしたミニアルバム「Alory Road Tracks」より4曲、更に未発表曲3曲を収録した、計12曲(72分12秒)を収録。
以前から探していたのだけれど、巡り合わせが悪いのだろうか?どうしても入手出来なかったのが、このアルバムに収録されているThe Duke of Harringray名義でリリースした「Alory Road Tracks」。ジャズのテイストが最も濃厚な作品と聞いていたので、なんとかして聞いてみたいと思っていました。個人的なことはこれまでにして、以下レビュー。
あ、熱い。思わず拳を握りしめてヒートアップしてしまうほどに、このアルバムでのベースプレイは熱い。疾走するかのように爪弾かれる粒だったベースラインは、官能的とさえ言える。
曲の展開も、予想以上にジャズ(というより80年代のフュージョン)の定石をなぞっており、ときおり爆発するプログラミングされた超高速ドラムパターンが無ければまさにそのものといった感じ。
同時代の感性と、過去の遺産との幸福な結婚。生まれた子供は、新たな地平を目指す。
big loada
Squarepusher
★★★★
先頃新作が出たばかりだというのに、もう新作がリリースされました。
収録されているのは新作「ハード・ノーマル・ダディ」の未収録曲7曲。
ドラムン・ベースという発想の妙は、斬新でありつつも応用範囲が広いといったところ。現在様々なジャンルに浸透しているという現状を生み出している原因の一端がそこにあると僕は考えているわけだけれど、それはガバというさらに高速化するという発想(それだけでは無いけれど)が、その先鋭さ故に、他ジャンルに浸透しにくく、その活動範囲は今以上には広がりにくいといったことを考え合わせるまでも無く、自明だったりする。
そしてその急速に影響力を拡大していくドラムン・ベースの中で、最も先を走っているのは誰?と問われたら、彼と指さす先にいるのはスクウェアプッシャーこと、トム・ジェンキンソン。彼の強みはデジタルなテクノロジーにも、アナログなテクノロジーにも通じているということが大きい。けれど、「そればっかりじゃないのよね」と気付かせてくれる好サンプルがこのアルバム。
新作に未収録な曲を集めたわけだけれど、ライナーで松本氏も言及しているように、ドラムン・ベースという発想が自然であると感じるまでに馴染み、曲として昇華されている。つまりこれはポップという意味でもありまして、今後ドラムン・ベースがさらに飛躍するための重要なファクター(因子)の一つなわけ。だから、こういった作曲能力+(生で)演奏能力に長けたジェンキンソンのお株は更に上がるわけでもあり、彼への注目度は俄然増すばかりといった感じ。
ああっ、あんまり長いと読む人減るんで、今回はここまで。
HARD NORMAL DADDY
Squarepusher
★★★★☆
SQUAREPUSHER、2枚目のフルレングス。日本盤にはボーナス・トラックとして、2曲多く収録されています。
なるほど「燃えよドラゴン」なオープニングにニヤリとしたのもつかの間、何?なに?ナニ?と、目まぐるしくその様を変えるSQUAREPUSHERことトム・ジェンキンソンの術中にはまりこみ、気がついたらグロッキーで伸びてました。もう一度だ!と連続再生を決め込み、気がついたら夜が明けていました。その間顔は緩みっぱなし、ニヤニヤ笑いが止まりゃあしない。もし人に見られていたら、病院の一室で目覚めていたかも・・・・。
そう、テクニカルかつ曲が良いものって、聞いてて飽きないんだよね。時間を忘れ、聞き込むこと一晩なんてザラにあったりする。まして、ジャコ・パストリアス、スタンリー・クラーク、チャック・コリアを髣髴させる超絶ベース・プレイを聞けるんだから悶絶もんよ。ほんと。
もし、ジャス、フュージョン、プログレ、テクノな人で、SQUAREPUSHER未経験な人がいたら、聞かなきゃいかんぞ。飛び込んで聞いてみたら、メチャ面白い世界が目の前に開けてくるから。嘘じゃないぞ。まずは、聞いてみて!
FEED ME WEIRD THINGS
Squarepusher
★★★★
様々なジャンルのアーティストからも賞賛される、スクエアプッシャーの1stフルレンス。
成る程、ここからならすんなりDrum’n’Bassの世界に入ることが出来る。でもって、あとは次から次へと聞くことが出来るようになりました。
何が良かったっていえば、印象から想起されたテイスト。これが予想以上にロックで硬派。でもって革新と言う意味でのプログレと、旧来の意味でのプログレ風味。トム・ジェンキソンのベースは、ジャズ&プログレ界を見渡してもかなりのレベルだし、プレイの仕方もジャズ&プログレ的。そんで、ドラムはフリオ・キリコ(イタリアのプログレ・バンドTILTのドラマー。超絶テク!)のようじゃないっすか。
とにかく1曲目「スクエアプッシャーのテーマ」聞いてみて。「えっ?!こんな感じ。聞けるよ。良いじゃん。好き!」てな感じでハマると思う。>プログレッシャー諸君
Wisconsin Death Trip
Static-X
★★★
日本人ギタリストを擁する、アメリカのインダストリアルバンドのファーストフルレンスアルバム。
ハードな展開の中にキャッチャーなメロディが多分に含まれているため、聞き易い。ザクザクと切り進むギターとマシンナリービートの爽快感に、プログラミングされたデジタルサウンドの絡みの妙は、新人バンドとは思えないレベル。隙のないこの作品はかなり高い評価を与えても良いだろう。しかし作り込みが激しいので、破綻といいますか、予想を裏切るような展開が無いのも事実。纏まりすぎているかのような感を覚える。
次作品での更なる飛躍を期待したいということで採点は辛めですが、お奨め。
余録)
アルバムタイトルとなっている「Wisconsin Death Trip」は、60年代末にMichael Lesyによって書かれた同名の書籍タイトルからのものと思われる。
同書は19世紀末から20世紀初頭におけるアメリカの暗黒部を、ポートレート写真や当時の新聞記事等を用い、えぐり出しています。
DOTS AND LOOPS
Stereolab
★★★★☆
Stereolab、メジャー3枚目、通算6枚目のフルレンス・アルバム。
今回アルバムをプロデュースするのは、前作に続いてとなるTortoiseのジョン・マッケンタイアと、Mouse on Mars(以下、MOM)のアンディ・トマ。
Stereolab、Tortoise、MOM、この3つを並べ比較していくと、音響に重きをおいたサウンド作りという共通項が見つかる。それぞれ、そのアプローチのしかたは異なるけれど、目指すところは近い。
で今作は、Stereolab単体の作品としていうより、この3つのバンドの共作として見るのが正しい。
表層を彩るレシティア嬢の素晴らしい歌声は、いつもとそれほど変わりが無い。しかし、曲の構造に目を向けていくとTortoise的であったり、MOM的だあったりする。そしてもちろん、Stereolab的である。
こう書くと、なんだか継ぎ接ぎだらけのような印象を受けるかもしれないが、そんなことは無いと言っておく。絶妙のブレンド感で、元の素材の良さが、殺されるどころか、映えている。Stereolabの最高傑作。
REFRIED ECTOPLASM [SWITCHED ON VOLUME 2]
Stereolab
★★★★
最近聞き始めたStereolab。前回は最新作「EMPEROR TOMATO KETCHUP」を評価したけれど、今回は彼らのシングル集第2弾。
前回ではモンドやレトロ・フューチャーなんて言いましたが、これ聞いてみたらとんでもない勘違いをしていたことに気がつきました。こいつらジャーマン・サイケの直系だ。1曲目から連想されるバンドは、CAN以外のなにものでもないし、ASH RA TEMPLE、ノイを想起させるような展開も多い。さらに歌詩に目を通してみると非常にインテリジェント。例えばこう
>
「ファルフィッサ」 訳 MORRISSEY
心を欠如して思考力以上に考える 心を疎外して思考力以上に考える
自己を超越した中で満ち満ちてる恐怖と歓喜
偶然による生と死 存在の無の中で
限界というものは絶えずより遠くにある
宗教的モラルの全滅の前に 投影されていた
そして最も純粋理論的な声は再び自由を取り戻す
どうです?プログレッシャー必聴のアルバムでしょ。まさに今が旬。このムーブメントを知らない者にプログレッシャーを名乗る資格は無い!と断言しておきましょう.。
EMPEROR TOMATO KETCHUP
Stereolab
★★★★
今、時代はグランジからラウンジへ。
ここにきて急に注目を浴び始めたStereolab。知らぬ間にフォロワーがワンサカついているといった状態。
未来っぽいけどどこか懐かしいレトロ・フューチャー。キッチュというのとはどこか違う。モンドあたりが的語か?それともアヴァン・ポップ?
ウーン。どこか、ノイあたりのジャーマン・テイスト入ってるような気もするし、使うシンセもムーグを代表するアナログ系。どう表現すりゃいいの??
でも、これ確実に流行るよ。オシャレだもん。ああっ、オイラとは無縁の世界。
SOULFLY
THE LIGHT
GO PLASTIC