Music Review Q

[Queensryche]American SoldierAmerican Soldier
Queensryche
★★

Queensryche通算10枚目となる今作は、第二次世界大戦からイラク戦争まで、最前線で戦った数十人の米兵へインタビューを行い、そこから「戦争」というキーワードで製作を行ったコンセプトアルバム。

戦争反対!と声高に主張するような内容ではなく、もう少し引いた視点で製作されている。つまり、Operation:Mindcrimeのようにストーリー性をもたせることで分かりやすくし、ドラマティックな展開で感情を揺さぶるという手法を今作では取っていない。インタビュー音声や戦闘音をSE的に導入したりとTVのドキュメンタリーのような手法を使うことで、「戦争」という現象を少し俯瞰した視点で表現している。

肝心のサウンドは戦争というテーマであるので、どれも明るいものでは無いが、バリエーションはあるほうだろう。しかし、ヴォーカルラインがパターン化しており、年齢的に高音域を維持するのが大変になったのだろうが延びもない。これは今作に限る話ではないが、安易にヴォーカルを重ねるのも頂けない。音に厚みを加えたいのだと思うが、逆に曲が軽く聞こえてしまう。

今作はトータルでの物語性が無いことで作中人物になりきる必要もないので、元々、感情を込めることが苦手なヴォーカルには歌いやすかったとは思う。しかし、Queensryche=Operation:Mindcrimeという印象(幻想?)を持ち続けているとサウンド的には特に惹かれるところのないアルバムと感じられるだろう。Queensrycheのバンド史的にはOperation:Mindcrimeのような感情の奔流がほとばしるアルバムこそ特異な作品なのだ。

Operation:Mindcrimeを期待する人は聴かぬが華。彼らの昨今のアルバムに聞き疲れを感じる人も手を出さぬが華。私自身、ジェフ・テイトの感情の入っていないヴォーカルには飽きがきている。 11曲目に少年の歌声が聞こえてきたときには癒されてしまったほどだ…。

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[Queensryche]Operation:mindcrimeIIOperation:mindcrimeII
QUEENSRYCHE
★★★

クイーンズライク9枚目のフルレンスアルバムにして3rdアルバム「Operation:mindcrime」の続編となるフルレンスアルバム。前作でゲスト参加していたオリジナルメンバーでメインソングライターだったクリス・デ・ガーモの参加は無く、ギターはマイケル・ウィルトンとツアーギタリス トだったマイク・ストーンげ正式メンバーとなりプレイしている。ゲストヴォーカリストとして「オペレーション:マインドクライム」でシスター・メアリー役 で参加していたパメラ・ムーア、Dr.X役にロニー・ジェイムス・ディオ、ジェフ・テイトの奥さんであるミランダ・テイトなどが参加している。

3枚目のアルバムとなる「オペレーション:マインドクライム」(以下Ⅰ)より18年の時を経て制作された「オペレーション:マインドクライムII」 (以下Ⅱ)。作品世界も前作から18年後、出所してきたニッキーがシスター・メアリーを殺したDr.Xに復讐を行うというストーリーになっている。

Ⅰは最初から最後まで激しい感情(怒りや悲しみ)の奔流に満ちたアルバムだった。ストーリーに呼応するようにテンションの高い楽曲、そしてなにより ジェフ・テイトに作中人物であるニッキーが降りてきているかのような入魂の歌唱には常に緊張を強いられ、最後まで聴き通すと、どっと疲れを感じるほどだった。ロックオペラの体裁を採っているが、文句の付け所のないヘヴィーメタルなアルバムだったことも特筆しておいて良いだろう。
翻って今作Ⅱは楽曲中のギタープレイやそのメロディーラインはヘヴィーだ。21世紀にリリースされるので、モダンヘヴィネスなギターリフなどⅠとの相違点も一部ではあるが、さほど気にすることでもない。だが、ヴォーカルのメロディーラインが良くない。特に頻繁に挿入されるコーラスワークは最悪だ。シリアスな物語やヘヴィーな楽曲を台無しにするような軽さだ。典型的なロックオペラ的コーラスワークはヘヴィーメタルとは相容れない。ジェフ・テイトの歌唱もⅠのように作中人物に没入するようなものではなく、物語を説明的に歌い上げていると感じるほど作中人物との距離感を感じる。そして、そこに心動かされるような 感動は無い。

Ⅱは単体のアルバムとして捉えた場合、ロックオペラなコンセプトアルバムとしては良くできている。しかし、Ⅰの続きであることを念頭に置くと、どうしても辛い評価を下すことになってしまう。ストーリーも「復讐はその対象だけではなく、自らも不幸に陥れるだけだ」と、言いたいことは分かるがそれを作品を通して表現できたのかどうかということに関しては疑問を感じる。Ⅰの熱烈なファンは今作を聴かないというのも選択もアリだろう。また、彼らのファン以外に勧められるものでも無い。

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[Queensryche]TribeTRIBE
QUEENSRYCHE
★★☆

クイーンズライク通算8枚目のフルレンスアルバム。
前作製作時には抜けてしまったクリス・デガーモがアルバム製作のみと限定した上で出戻り(アルバムジャケット裏のメンバー写真にも不参加)。

アメリカを襲った未曾有のテロ事件を受け、本作の歌詞世界はその後のアメリカ、およびそれを取り巻く世界が中心テーマとなっている。比較的に左寄りなジェフ・テイトだけあり、その批判対象はアメリカに向けられている。過剰なまでの報復行為、塗り固められた嘘だらけの発言を繰り返す政府など、糾弾する材料には事欠かない(キリスト教原理主義、兵器産業、グローバル企業の走狗ともいえる近年アメリカ史上最悪の政権なだけに、誰でも批判したくはなると思うが)。曲の方もこれを受け、重たい物が多い。となると、嫌でも「オペレーションマインドクライム」を想起したくなるけれど、あの作品の再来というわけではない。ヴォーカルはあの作品ほど楽曲に感情移入しているわけではないので、どこか軽く感じられ、聞き流してしまいう。サウンドは時折引き込まれるような面白い展開をするのだけれど、クリス・デガーモが導入したであろう今風なギターリフが展開されると、興ざめしてしまうことが多々ある。結果、全体的には散漫とした印象を受ける。悪くはないのだけれど、乗り切れない。一歩引いたところから曲を聴いているような心持ちだ。

どうにも煮え切らない印象を強く受ける作品だ。とはいえ、ここ数作の彼らの作品はどれも不完全燃焼の感があるけれど。

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[Queensryche]Q2KQ2K
QUEENSRYCHE
★★☆

メインソングライターだったギタリストのクリス・デガーモが去り、レーベルもEMIからアトランティックに移籍してリリースされた、通算7枚目のフルレンスアルバム。
抜けてしまったクリスの代わりに、ヴォーカルのジェフ・テイトがクイーンズライク以前に加入していたバンドのギタリストであり、プロデューサーでもあるケリー・グレイがメンバーとして加入しています。

一所に落ち着き、安住するという生き方がある。また、住処を定めず、常に流浪をしていくという生き方もある。一概に、どちらが良いと言うことは言えない。一所に身を落ち着けることで生み出されるものが有るだろうし、常に旅を続けていくことで新しい流れを生み出すこともあるだろう。
クイーンズライクと言うバンドは、常に新しい音楽を生み出そうと考え、実際、そのようにしてきた。出す作品は常に問題作扱いされ、すぐに理解されると言うことは無かった。しかし、ここ数作での彼らを見ていると、常に中途半端な場所に身を置いているように感じられる。定住するでも無く、新しいもの求め旅に出るわけでもない。街に滞在し、流行のモノを探しているようだ。見つけだした新奇なものを取り入れ、加工しているように感じられる。決して、自分たちの力だけで新しいものを作り出している風には見えない。いっそ、これまでの音楽の延長線上にあることを延々とやって欲しいと思う。進化より、深化を目指すという方向である。

今作には新鮮さが無い。今風なサウンドの導入が行われていても、新しいと感じないのだ。たしかに、彼らならではのサウンドは随所に聞くことが出来る。素直に格好いいと感じる部分もある。だが、全体を通して聞いた場合、どうしても平凡な作品に感じられてしかたがない。理由は、上で述べたことによるものだろう。
10年以上前よりフェイバリットなバンドである彼らには、まだ頑張って貰いたい。次作での、良い意味での変化を期待している。

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[Queensryche]Hear in The Now FrontierHEAR IN THE NOW FRONTIER
QUEENSRYCHE
★★★

通算6枚目(ミニ、ライブは除く)のフルレングス・アルバム。

前作「PROMISED LAND」は、全編に渡り暗いトーンが支配する、聞いていて暗鬱になる嫌なアルバムだった。そして今回は、BURN誌曰く、「グランジパワー恐ろべし」「シアトルの亡霊に飲み込まれた」なアルバムだそうです。

まず、グランジってなに?という疑問が浮かぶ。仮にシアトルから出てきた音楽の総称とでもいうのなら、??って感じ。これまでも、そして今も多様な音楽を産み続けているあのシーンを知っているものからは、決して口に出されることが無い答え。変に(日本国内において)影響力のある雑誌なんだから、少しは自重してよ!と思う。

で、評価。
まず、3枚目の「オペレーション:マインドクライム」を頭の中から外して欲しい。そして残るアルバムを年代順に並べて聞いていくと、それほど違和感なく今回のアルバムを聞く事が出来るんじゃないかな?
確かに、過去の作品群ほど緻密では無いかもしれないけれど、楽曲の出来は前作以上だと思うよ。メロディーも結構頭の中に残るし。
90点はあげられないけれど、80点はあげられるアルバムだと思います。

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[Queensryche]Promised LandPROMISED LAND
QUEENSRYCHE
★★★

クイーンズライク5枚目のフルレンス・アルバム。

非常に力を持ったアルバムを聞いていると、しばしば、背筋がゾクゾクするような感覚を味わうことがある。そのようなアルバムに出会うことは年に数回あるかどうかなのだが、今回、QUEENSRYCHEの新作「PROMISED LAND」を聞き始めた瞬間、久しぶりにそれを味わった。彼等の代表作である「オペレーション・マインドクライム」を初めて聞いた時も、そのアルバムの持つすさまじい勢いに圧倒され打ち震えたが、今回のアルバムが持つエネルギーも相当な物であると感じた。
しかし、曲を聞き進めていくとどうも居心地の悪い場所にいるような不快感を感じ始めた。原因は何かなと思いながら歌詩の対訳に目を通すと…。なんだ?!この救いようの無いネガティブな歌詩は!これじゃあ引けちゃうよ、こっちは。

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[Quuensryche]Operation:mindcrimeOperation:mindcrime
QUEENSRYCHE
★★★★★
クイーンズライク3枚目のフルレンスアルバム(ミニアルバムを除いて)。

最もはまったバンドは何?と聞かれれば迷わずにキングクリムゾンと答える。しかし、最も聞き込んだアルバムは?という質問の答えはキングクリムゾン の「クリムゾンキングの宮殿」でも「太陽と旋律」「RED」でも無い。そう、最も惚れ込んで聞き込んだアルバムはクイーンズライクの「オペレーション:マ インドクライム」になる。

音楽にはまりこんでいた、最も多感な時期にこのアルバムに出会った。ヘヴィーメタルというジャンルの音楽にはすでにどっぷりと浸かっており、プログレにも手を出し始めていた頃だ。何気なく入った近所のレンタルレコード店にて、入荷したばかりというこのアルバムを手に取った。髑髏にエレクトリックな十字架を配したロゴの背景にはアジテートする群衆。良く知らないバンドのアルバムではあったが、格好良いジャケットに惹かれて借りてみた。帰宅後、ミニコンポのプレイ ヤーにレコードを乗せ、針を落とした。
病院のアナウンスにTVからのニュースが被り、看護婦が誰かを罵しる台詞。「良い夢でも見ることね。この馬鹿」と。そして男の呟き「俺は思い出した。何が起こったのか。しかし、昨日のことは思い出せない。俺は思い出した。俺が何をしたかを。奴らの良いなりになって…」。呟きの後はDr.Xが群衆をアジるSEを背景に硬質な音のドラムとメタリックなギターの旋律。ここにきてアルバムを聴き始めた私は全身に鳥肌が立っていた。冗談では無く、本当の話だ。そして針を上げ。渋谷のタワレコ(昔は東急ハンズの側にあったんですよ)にCDを買いに向かったのだった。このアルバムは自腹で購入し、CDのクリアな音で聴かないとバンドに対して失礼だと感じたからだ。いや、本当に。

このアルバムはクイーンズライクの代表作ではあるが、彼らのアルバム群の中では極めて異質な特異なアルバムである。このアルバム以前にもコンセプトを持った アルバムを作っていた彼らではあったが、今作は「Tommy」のようなロックオペラに近いストーリー仕立てのトータルコンセプトアルバムになっている。 ヴォーカルのジェフ・テイトはとても巧いシンガーではあったが、感情を込めて歌うようなことは無かった。しかし、このアルバムに限っては作中人物に入魂したかのように、感情豊かに鬼気迫るような迫力で歌い上げている。サウンドもこれまでのプログレッシブよりなテクニカルなサウンドからヴォーカルに呼応するようにエモーショナルでハードなものとなっている。なにより楽曲のレベル、テンションがが異常に高い。1曲目からラストまで全力疾走だ。

ストーリー性を持ったアルバムの場合、物語を語る為にどうしても冗長な捨て曲的な物もあるが、今作に限っては捨て曲が無い。ストーリー進行と楽曲が見事に 調和している。過去から現在までここまで完成されたコンセプトアルバムは聴いたことが無い。時代を超越した名盤たる所以だ。

物語は病院の一室でシャブ中のニッキーが目覚めたところから始まる。そして彼に起こったことが回想されていく形で進んでいく。アジるDr.Xに心頭し彼の革 命思想の為に組織の殺し屋となるニッキー。Dr.Xに命ぜられるまま暗殺を行っていく。ミッションを仲介する元売春婦のシスター・マリーに恋に落ちたニッ キーだが、組織は彼女を危険人物であるとして殺害するように命じる。ミッションと愛の間に葛藤するニッキーだが、彼女と一緒に組織を抜け出した。しかし、彼女は組織に殺されてしまう。夜の静寂をニッキーの絶叫が切り裂く。そして彼も組織の手に落ち薬漬けにされて病院に監禁されることになるのだった…。ここで物語の時間軸は1曲目に戻る。彼の回想が終わり、全てを思い出したからだ。そして物語は終わりを告げる…(はずだったのだが、18年間の時を経て続編が 発表されることになるのだった…)

最も多感な時期に聴いたということもあるが、それこそ毎日のように何度も聞いた。1,2年は日に1度は聴いていたように思う。その後も折に触れては聴いていた。生活の一部にこのアルバムがあったと言っても過言ではないほどに。それほどこのアルバムには心動かされるものがあった。今でこそ当時ほどの情熱を傾けて聴くことはない。だが、それでもアルバムの最後には胸を熱くさせ、何か心の奥底で燻るような余韻が残る。私の中では今もって光り輝くもの凄いアルバムだ。

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