ghost reveries
opeth
★★★★
スウェーデンのデス・メタルバンドOpeth。レーベルをロードランナーレコードに移してリリースされる8枚目のフルレンスアルバム。
デス・メタルはどうも苦手である。サウンドに特色があっても、ヴォーカルがデス声だとどれも画一的に聞こえてしまう。女性のデス声ですら判別不可能に感じてしまうぐらいだ。また、決して聞かず嫌いというわけでもない。実際にデスメタルバンドのアルバムは何枚か興味を持って購入しているし、PVなどはちょこちょこ目にする。だが、どれを聞いても面白くない。それどころか、1曲を最後まで聞き通すのですら辛いのだ。
思い返せば、スラッシュメタルが台頭し始めたころも同ジャンルに対して同じ思いを抱いた。どれを聞いても辛かった。しかし、メガデスを耳にしてからは、その苦手意識は薄れた。どころか、(全てでは無いが)好きになってしまった。
そして、同じようなことが、このバンドのアルバムを聞いたときにおこった。デス・メタルが聞けるようになったのだ。
スウェーデンの音楽シーンはというと、俗にスウェーデンポップなどと言われる物から、このサイトでも紹介しているガルマルナやヘドニンガルナのようなラディカル・トラッド、アネクドテンやアングラガルドのようなプログレッシブ・ロックなど、そのシーンはかなり多様であり、面白いものが多い。このOpethというバンドは今述べたバンド群の中ではアネクドテンあたりに近い。ジャンルとしてはデス・メタルの範疇に入るのだが、そのサウンドはかなりプログレッシブな要素が強いのだ。
メロトロンの多用、転調の激しい曲展開と複雑な楽曲など。このバンドの特質として、ハードな動の部分とメランコリックな静の部分の対比があげらるのだが、その静の部分だけを抽出してみると、これはプログレ以外の何物でもないと言える。加えて、この静の部分はデス声ではなく、(声域はあまり広くないが)普通の声でメロディーを歌い上げる。この点がなによりデス・メタルに苦手意識を持っていた私を惹き付けたわけだ。
8枚目のアルバム(リリースの間隔が短いのだけれど)ということで、もうデス・メタルバンドの中では大御所と言って良い位置にいるバンドなわけだが、今作をレビューするにあたり1stから遡って聞いてみて驚いた。8枚目ともなると、他のバンドでは惰性でマンネリ化しているか、解散しているかが多いのだが、このバンドは毎アルバム毎に着実に進化を遂げている。8枚目に至ってもまだ進化の途上であるのだと思うが、アルバム毎に、それまでのアルバムを超える完成度を持った作品を生み出しているのだ。これは驚嘆すべきことであり、素直に賛辞を呈すべきことだ。すばらしい。
このOpethというバンドはデス・メタルファンだけに聞かせておくのはとても惜しい。ドリームシアターなどのプログレッシブメタルファンは基本として、メタルファン、プログレファンにも是非聞いていただきたいバンドである。4thアルバムである「Still Life」あたりから聞いてみるのも良いかもしれない。デス声がどうしても駄目という方は、前作である7th「Damnation」あたりを聞くと良いだろう。デス声皆無のアルバムだ。
とにかく、おすすめなバンド。プログレ者は必聴。
Watershed
Opeth
★★★☆
通算9枚目となるOpethのフルレンスアルバム。ギター、ドラムのメンバーチェンジを経てのリリース。
オープニングパートとなる3分弱のアコースティックギターで幕をあけるナンバーには二人の女性ヴォーカル迎えてのトリオヴォーカル。終始美しい旋律で展開される1曲めのラストは嵐を感じさせるSEで幕を閉じる。続く2曲目は重いリフとドラムで始まり、静かなピアノパートで一拍置いた後に歪んだデス声で複雑な展開をするプログレッシブデスメタルと化す。間奏部ではまたアコースティックで綺麗な旋律。静と動と激しく振幅を繰り返すのがOpethワールドのお約束。この展開にプログレ者はひとたまりもない。ただ魅了されるばかり。私をデスの世界に引きずり込んだ魅力はいまも光り輝く(このバンド以外のデスメタルは未だ苦手だけれど)。プログレ者には是非聞いていただきたい一品。お勧め。
ALL OVER
Optical*8
★★★★
日本版OPTICAL*8初のライブ・アルバム。しかも2枚組。
タイトルどおり最後のアルバムになるんですかね?大友は抜けて、RECKはフリクション再結成し、湊も他にいくつもバンド掛け持ち、リーダー(?)のホッピー自身もかなりのハイペースでセッションをこなしてはCDをリリースするといった状態。これでは事実場の自然消滅か?
まあ、現時点でこれ以上サウンドの発展を期待することが出来なかったってのが正直なところなんでしょうか?数年後の再結成を切に願います。
で、サウンドの方ですが、ちょっと前のブートを聞いているような音質(あえて、狙っているのかもしれないのが恐い)。演奏の方はかなり爆発しており、アルバム・ヴァージョンより勢いが出ていて、かなりGOOD!中期キング・クリムゾンのライブやVDGGの「vital」を聞いているような感じ<最大の賛辞か?
オリジナルのフルレンスアルバムとしては、前作である「ORBLIVION」から4年ぶりのリリースとなる今作。一度は完成していながら、曲の差し替え、ミックスのやり直しなどが行われた模様(*1)。
ヴォーカルナンバーを大々的に導入することで、アルバムから受ける印象は、これまで以上にキャッチャー。特に、前半部分は驚くべきほどに軽快でポップ。中盤を過ぎたあたりから、徐々にコアな世界が広がりはじめるが、なおもその印象はポップ。彼らの全作品中、最も一般受けしやすい作品かもしれない。
細部まで作り込んだ凝ったサウンド構成は、相変わらず見事。ORBならではのサウンドスケープが展開されている。その世界を心ゆく堪能するためには、相応の再生環境が必要となるでしょう。
日本では何故か認知度の低いORBだけれど、今作は彼らの入門には最適なアルバムです。興味がありましたら、是非、その素晴らしい音楽世界にふれてみると良いでしょう。お奨めです。
サンプリングされた音や、クリエイトされた音が集合し、特異な音楽空間を構築している。そこでは一つ一つの音が独立して存在し、自己を主張しているようにすら感じる。ORBという連中の創り出す音は、無機質と有機質の中間のようにも感じてしまう。
過去にも未来にも存在しない、このバンドでのみ創造することを許された孤高の音楽。凍てついているようで、どこか暖かい。
The Altogether
Orbital
★★★★
イギリスのテクノユニット、Orbitalが放つ、21世紀最初のフルレンスアルバム。通算6枚目となります。
マシーナリーな無機的要素と、ヒューマニックな有機的要素。ここ数年、多くのテクノ系バンドがこの一見相反する要素の融合を行おうと試みている。硬質なビートからだけでは決して導かれることのない、エモーショナルな感情の喚起。ハイブリッド化の手法は試行錯誤を何度も繰り替えされ、次第にその洗練の度合いを高めている。
このオービタルというテクノユニットも、このような実験を行う物達の中の一つだ。そして、彼らはその中でも先端を走っている。特に、このアルバムで提示される音楽世界は、あまたの実験の中から生まれたものの中でも、一つの理想型と言えるほど完成されている。
頭でっかちになり、身構えるようにアルバムを聴く必要は無い。ここにはとてもポップで実験的な世界が待っている。ただ耳を傾けるだけで良い。とてもオリジナルな世界があなたを待っている。お奨め。
CYDONIA
ORBLIVION