PEOPLE
BABE THE BLUE OX
★★★
トータルで3枚目(うち1枚はミニ・アルバム)にしてRCAよりメジャー・リリース。
捉え所が無い。けれど、これが今のアメリカの王道ロックなんだと思う。そして、それって音楽が面白くなっていることだと感じる。思い帰せば80年代、個性的なバンドにとっては受難の時代だった。新しいものを創り出そうとするアーティストに対し、売れているバンド群の模倣を求める保守的なレーベル側。LAロックは腐っていたし、HM・HRも画一化の嵐だった。確かに良いものもあった。でも、市場からは疎外されていた。で、90年代。Xジェネレーションと呼ばれる僕等は、本物を求めた。前人未到をひた走るクレイジーな野郎達の創り出す音を。そして、それが音楽シーンに影響を与え始めた。伏水だったはずの前衛的ロックが、本流に混じり始めた。この状況は面白い。60、70年代は伝説の彼方だけれど、僕には今の音楽がそれ以上に興味深い。歴史にその名を刻み込むようなバンドは、少ないだろう。けれど、世界の流れをほんの少しぐらいは変えるバンドが出てくるかも知れない。目を開いて世界を覗きこみ、耳を向けて時代の出す音楽を感じとろう。
ちょっとCDレビューから逸脱しちゃったけれど、とにかくこのアルバムは楽しい。軽快なノリで明るい曲調と、前衛性が違和感無く共存している。ここにも、現代(いま)を示す音楽が存在する。内包された時代からのメッセージを、探してみよう。
まずは、聴く事から始まる一歩を。
ビョーク、ソロ5枚目となるフルレンスアルバム。
一部を除き、極力、人声に拘って作られたアルバム。参加アーティストはロバート・ワイアット、マイク・パットン、Tagaq、日本人のDOKAKAなど。
ヒューマンヴォイスを楽器代わりに見立てて楽曲を仕上げるという手法はなにも今回が初めての試みでは無い。プログレ者な方達には何度か聞いたことがあるはず。しかし、今作は当初の制作過程においては楽器も使われていたようだ。しかし、DOKAKAなどの参加により人声を楽器として代用出来ることが分かり、ヒューマンヴォイスを突き詰めていくようなコンセプトに変わっていったらしい。手段が目的の一部とすり替わってしまったといえようか。
さて本作であるが、人声の多様性を見せることには成功している。重層的なコーラスは美しく響くし、tagaqなどの特殊な歌唱法との絡みも面白い。しかし、エレクトリックなリズムやSEを人声で演じるというのはどうだろう?コンセプトの面白さだけな気がする。「これまでやってきたような曲もヒューマンヴォイスでここまで出来ますよ」といったショー的な要素しか感じられなかった。
また、人声だけで作られたミニマルな曲は、聞いていてとても重い。こってりしているという方が言い当てているだろうか?数曲でお腹が一杯になってしまうのだ。アルバムを通して何度も聞こうという気になれないのだ。とても疲れてしまう…。
ということで、クオリティは高いがイマイチお勧めしかねるアルバムではある。
VESPERTINE
Bjork
★★★★
映画主演などで何かと話題の多いBjorkのソロとしては4枚目となるフルレンスアルバム。(映画のサントラを含めると5枚目)
映画の主演で何かを悟ったのだろうか。今作で歌われている詩の視点はこれまでより高きところにある。そして、達観したような境地から優しく諭すような語り口で、歌い上げられている。おかげで、これまでのエキセントリックな面はすっかりなりを潜めている。それが悪いというわけではない。受ける印象は柔らかくともサウンド面での冒険も行われており、これまでのプログレッシブな要素は決して失われていない。その技法は洗練されて、こちらも新たな地平に立ったような印象も受ける。
安易なフォロワーを許さない独特の世界観はそれ故に孤高の音楽であり、すんなりと入り込むのは難しいかも知れない。しかし、今作は彼女の作品中では最も聞きやすいと言えるかもしれない。映画で彼女に興味を持った人たちには、入門用としては丁度良いアルバムだろう。勿論、彼女のファンには必聴のアルバムである。
Selma
Songs
Bjork
★★★
2000年度カンヌ映画祭にてパルムドール、及び主演女優賞を受賞した映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のサウンドトラックが本作。映画では主演をこなしたBjorkが全ての楽曲を手がけています。また、ミュージカル映画のサウンドトラックということで、ほとんどがヴォーカルナンバーとなっています。
映画を監督したのはラース・フォン・トリアー。デンマーク出身の監督で、代表作は「エレメント・オブ・クライム」「ヨーロッパ」「奇跡の海」といったところでしょう。独特の色彩美と感性で、唯一無二の世界を作り上げる監督です。
ストーリーはセルマと言う女性が、転げ落ちるように不運に見回れるという話しのようです。彼女は失明の危機にあり、彼女の息子も遺伝性の障害のため、失明する可能性が高いという…。しかし、楽曲の方はいかにもミュージカルといった、ポジティブな希望に満ちた内容のもので占められています。過酷な現実の中でも、夢を抱く白昼夢的なシーケンスに楽曲は使われているようです。なんだか、痛そうな内容の映画ですね。
楽曲は、ミュージカルタッチな映画のサウンドトラックということで、オーケストラをバックに歌い上げる物が多いと言えます。とはいえ、そこには完全にBjorkならではの世界が展開されており、彼女のファンならば何の違和感も無く受け入れられる作品です。彼女以外には作り上げることの出来ない、Bjorkワールドです。彼女のファンならば、購入して間違いは無いでしょう。
Homogenic
Bjork
★★★★
ソロとしては3枚目のフルレンス(リミックス盤は除く)。
国内盤にはボーナストラックとして、アレック・エンパイア等によるリミックスを含めた未発表曲6曲が収録されています。
彼女を襲った一連の事件のせいか?このアルバムでの彼女は、以前にも増して力強く感じられる。それは、歌詞を見ていただければ一目瞭然なのだけれど、サウンドだけでも充分に伝わってくるだろう。
しかし、彼女の作り出すサウンドには、毎度のことながら驚かされる。今回は生のストリングスとブレイクビーツ。共に合わせるのが難しそうな素材だが、彼女の歌声が接着剤となって無理なく融合している。そして、サウンドの新奇さを彼女の才能が飲み込み、唯一無比のBjorkワールドのパーツとして昇華されている。まったく恐れ入る才能の女性だ。
現代のDIVAを冠するのは彼女しかいないだろう。
REUNION
BLACK SABBATH
★★★(歴史的意義に対して+★1個してください)
ブラックサバスのオリジナルメンバーによるリユニオンライブ・アルバム。2枚組で、新曲2曲を含めた、合計18曲。
ブラックサバスが、現在のHEAVYロックの開祖であるということは、誰もが認めるところだろう。彼等は、それまでのロック・ミュージックからは想像できないミュータントだ。R&Bを基本としたバンドからスタートしたというが、その種の音楽と比較して、楽曲から受ける印象はあまりに異質だった。トニー・アイオミの繰り出すリフは、それまで誰も聞いた事のないほどに、重く歪んでおり、それは当時としては酷くまがまがしいものだった。オジー・オズボーンの歌声も、それまでの常識からは一線を画していた。つぶれたようにひしゃげた声は、悪魔のつぶやきに喩えられたりもした。ギザー・バトラーの地を這うようなベースプレイも注目しなければいけないが、それ以上に、彼を中心に行われたという黒魔術趣味が、当時の人々の興味をかきたてた。またそことにより、アンチ・クライストとして、異端審問さながらに、敬謙なクリスチャンを自称する腐れ外道共に糾弾されることにもなったりもした(*1)。
サバスの過去はこれくらいにして、アルバムについて述べていこう。
オリジナルの楽曲を収めたアルバムは、当時の録音技術の問題もあるのだけれど、全体的にドローンと歪んでいる。これがHEAVY感を高める効果を果たし、良い感じになっている。しかし、今作はライブ盤であるにも関わらず、音が良い。技術の進歩の成果だが、音がクリアーになりすぎてしまった。これにより、オリジナルサバスの持っていたいかがわしさが損なわれてしまっている。
技術の進歩によって、アナログからデジタルに録音フォーマットが変化してきたわけだが。デジタルは、基本的にコピーを行っても劣化しない。しかし、アナログは情報の欠落や、ノイズなどの付加価値(?)が加わる。どちらが良いかは使い方次第だが、今回はデジタルであることが裏目に出てしまったようだ。
新曲である2曲についてだが、特筆するまでも無い、平凡な曲だ。ここ数年のサバスの楽曲では最上の部類に属するが、オリジナルによる当時の楽曲に比べると、答えを書くまでもない。しかし、今後このメンツで活動するのであるならば、積極的に応援していきたいと思わせるほどのものでもある。
とりあえず、今後に期待したい。
(*1)
キリスト教の歴史は、異文化に対する侵略と弾圧の歴史でもある。奴等のおかげで、どれだけの貴重な文化遺産が失われたことだろう。また、現在悪魔とされるものの大半は、異宗教の神々達だ。私のハンドル名であるアシュタルは、古代セム人の信仰する地母神の一人だが、キリスト教ではアスタロトという悪魔になっている。
馬鹿に付ける薬はないが、奴等は馬鹿と自覚していないだけに始末に終えない。私は言うまでもなくアンチ・クライスト。キリスト教の歴史を知れば知るほどに、嫌悪感が募る。
BLIND
MELON
BLIND MELON
★★★★☆
シャノン・フーンのヴォカールに初めて接したのは、GUNS’N ROSESの「USE YOUR ILLSION 1&2」に収録された「DON'T CRY」という曲を聞いた時のこと。そこで彼は、アクセル・ローズと共演していたのだった。彼の特異な声質は僕の興味を喚起し、もっと多くの曲を聞いてみたいと思わせた。それからしばらくして、待望のアルバムは発売された。その仕上がりは、僕の想像の範囲を超えた、素晴らしいものだった。
まず驚かされたのは楽曲の構成能力。一聴して解るように、小技を効かせた細かいギターリフと、これまた細かいリズムが複雑に交錯している。しかし、それがちっとも仰々しく無く、清流のようにさらりと聞かせてくれる。そしてメロディーセンスの良さ!捨て曲無しと言い切れるほど。全ての曲のメロディーラインが頭に残っていく。最後の極め付けはシャノンの書いた歌詩。ジェネレーションX世代特有の虚無的な日常を、巧みに描き出している。この暗い歌詩と明るいメロディーを持った曲の組み合わせは絶妙で、楽曲の存在感が何倍にも倍加されるとともに、バンドとしての個性を産み出している。
都合3枚(内1枚は未発表曲集)のアルバムが発売されていますが、まずはファーストから聴いてみましょう。
90年代を活躍するバンドでも、トップクラスの実力と魅力を兼ね備えたブラインド・メロン。シャノンの死から1年以上経過したわけだけれど、その存在は未だ輝いている。ロック史にその名を刻むにふさわしいバンドです。
NICO
BLIND MELON
★★★
’95年10月21日、ツアーバスにてニューオリンズを移動中、ドラッグの過剰摂取により他界してしまったシャノン・フーン。このアルバムは、彼を中心に結成されたブラインド・メロンの未発表曲集。
佳人薄命なんて言葉があるけれど、あながち否定できないなと思う。というよりは、才能と、その才能から創り出される作品を期待する者達の過剰な期待に、寿命を食い潰されると言ったほうが良いだろう。いくらあふれださんほどの水をたたえた泉でも、大量の人間が押し寄せて飲み尽くせば、枯渇してしまう。私も彼の才能に魅了された一人なので、彼を食い潰した側の人間だ。あまり大きなことは言えない。それだけに、このアルバムを聴いていると、複雑な心境になる。
彼等のアルバムはリリース順に聴いていくことを薦めます。
INTERIORS
BRAD
★★★☆
パール・ジャムのストーン・ゴッサードを中心に結成されたBRADのセカンド・アルバム。
パール・ジャムのギタリストといえば、マイク・マクレディーの方が有名だと思うし、彼の参加するセッションやプロジェクト・バンド(MAD SEASON等)は評価も高い。そしてストーンはと言えば、レコーディングスタジオを経営したり、レコード・レーベルを運営したりといったビジネス面での活躍が知られるところ。だからと言って、彼が中心メンバーとして参加するこのバンドを聞き逃すのはかなり惜しい。そう言うに足る魅力を持った作品なんです。
なにせ1作目からして何年も一緒に活動しているかのような、枯れた感じがした。それは良い意味での印象で有り、古臭いとかAOR向けいう意味では無い。そして、ヴォーカルのちょっと変わった声質が、バンドの特異化に貢献しており、それがバンドとしての味を深く演出している。でここが肝心なのだが、この声は癖になる。巧さゆえにガツンと衝撃を受けるのでは無く、小刻みに食らうジャブのようにジワリジワリと脳に浸透してくるかのよう。またこれも重要なんだけれど、バックの演奏のキッチリとしたグルーブ感が、中毒の効果を高めている。(ルーズでは無いというのが味噌)
で、このセカンドは当たり前なんだけれど、ファーストの延長線上。作風を変えるというこは行わず、マイペースで作ったという感じ。それ故、身構える必要もなく、スンナリ曲の世界に没入出来る。で、これはファーストにも言えることなんだけれど、一度では曲の良さが解らない。スルメのように何度も噛みしめ、味わって下さい。
THE
CHEMICAL WEDDING
BRUCE DICKINSON
★★★
ロイ・Z達が前面参加するアルバムとしては3枚目にあたる、ブルース・デッキンソン通算5枚目のソロアルバム。今作にも、前回に引き続きエイドリアン・スミスが参加しています。ジャケットおよび作品のテーマに使われているのはW・ブレイク。英国を代表する詩人であり、版画家です(*1)。
歌詞、曲調ともに、往年のHMを愛する方にとってははたまらないでしょう。魔王やドラゴンが荒れ狂い、ドラマティックなサウンドが歌詞を盛り立てます。メイデンを脱退してまで新しいことを始めようとしたブルースの辿りついた先がこの作品とすると、なにか感慨深いものがあります。まあ、ヴォーカル交代後のアイアン・メイデンが低迷を続けているので、彼等のファンの代価品として、かなり良いかも。ただ、ベースパートに物足りなさを感じるでしょうね。いっそ、スティーブ・ハリスがこのバンドに加入すれば良いのになどと、無茶なことを望んでしまいます。アイアンメイデン史上、最強のメンバーになると思うんだけれど・・・。
そう、肝心のロイ・Zですが、今作ではお得意のラテン的旋律を使用していませんでした。オーソドックスなHM(というか、かなりメイデン)のプレイに徹してします。
(*1)
彼の大規模な作品展が、十数年前に上野の国立近代西洋美術館で行われました。今後数十年は、国内でおがむことが出来ないであろうほど、規模、展示内容ともに充実していました。
学校を休み、早朝から閉館まで、ゆっくりと展示作品を鑑賞しました。「大いなる龍と赤き日をまとう女」のを前では、1時間ほど立ちすくんでいたことを憶えています。ええっ、トマス・ハリスの「レッド・ドラゴン」に感化された結果です。さすがに展示品を盗み出し、それを食べるということはしませんでしたが。
ACCIDENT
OF BIRTH
BRUCE DICKINSON
★★★★
何枚目と言えば良いのだろう?ブルース名義では3枚目にあたるアルバム。
参加メンバーは「BALL TO PICASSO」と同じく、TRIBE OF GYPSIESのロイ・Z(G)、エディ・カシラス(B)、デヴィッド・イングラム(DS)。そして、元アイアン・メイデンのエイドリアン・スミス(G)。
楽曲の大半はブルースとロイ・Zの共作ですが、2曲([ROAD TO HELL][WELCOME TO THE PIT])をエイドリアン・スミスと共作しています。
まずは、ロイ・Zのソング・ライティングの才能に脱帽である。ブルースの魅力を殺さず、巧みに引き出しつつも、ギタリストとしての自己を主張する曲を作り上げている。これは中々出来ることでは無いと同時に、彼の非凡さを示す好サンプルとも言える。巧い。ついでエイドリアン・スミスの参加により、本家アイアン・メイデンよりアイアン・メイデン的な楽曲が作り上げられた。思い返してみると、メイデンでヒットした曲はブルースやエイドリアンの作曲したものが多い。当たり前と言えば、当たり前過ぎる、当然の結果なのかもしれない。
久しぶりに正統的なコテコテのHMを楽しみました。HMファンならば必聴の作品です。
CAPTAIN
VAPOUR ATHLETES
Buffalo Daughter
★★★★
バッファロー・ドーター、3枚目のアルバムにして、初のフルレンス。1stの「SHAGGY HEAD DRESSERS」、2ndの「AMOEBAE SOUND SYSTEM」からの選曲+新曲+未収録曲といった構成になっています。
脱力してしまうようなフレーズも、おもわず手を打ちたくなる格好良いフレーズも、「好きなんだもん」の一言で同居している。そして、それに違和感が無い。それどころか、見事に共存し、互いを高めあっていたりする。また、これが重要なんだけれど、ポップ。好きな事を詰め込んでいてポップ。ステレオ・ラブあたりのポップさに通じるかもしれない。反逆的ポップだけれど、反意無し。楽しく行こうよ!でニコニコ笑顔。でもその下の顔は不敵にニヤリ。軟派に見えて、実は硬派でテクニシャン。日本にこういうロックが出現してきて楽しいやら、嬉しいやら。保守化傾向の強くなってきた日本に、こういうバンドがもっと沢山出てきた欲しいぞ。そして、チャートを賑わしてくれたりすると、日本も変わるかも。
I
Buffalo Daughter
★★★★
バッファロー・ドーターのフルレンスとしては3枚目となるアルバム。
前作にあたる「NEW ROCK」では、ドイツのエクスペリメンタルロックなどの、プログレ寄りの音を意識しつつ新しい音楽世界を提示した。その成果は内外からの評価も高く、彼らの存在をより知らしめることとなった。
さて、今作では前作において体現したプログレスする音楽に磨きをかけつつも、洗練さの度合いも高め、より進化しつつも聞き易いという彼らならではの独自な音楽世界を作り出している。この辺のセンスが受けて、海外のファッションショーや映画などで多用されているのだろう。ステレオラブの音楽性に近いものがあるが、彼らのほうがロックフィールドに近い。
ロック音楽にファッション性やアートを求める方などは、バッファローのようなバンドは必聴だろう。radioheadなどのファンにも、日本にこういうアーティストがいることを知ってみるのも良いのではないだろうか。個人的にプッシュしているアーティストだ。お勧め。
Pshychic
Buffalo daughter
★★★★
レーベルを一新してリリースされたバッファロードーターの通算4枚目となるフルレンスアルバム。
SACD(スーパーオーディオCD)と通常CDのハイブリッド仕様となっています。
前作「I」は比較的ロック色の強いアルバムで楽曲も全13曲でバラエティーに富んだ作品だった。対して今作はエレクトロニカ色というか、テクノのビート感が強く打ち出されている。全5曲と1曲が長めで、5曲目にいたっては20分以上の大作となっている。トーンも似たような感じに仕上がっており、それはアルバムジャケットから受ける印象にピッタリだ。
まずは傑作と言い切ってしまおう。昨年度聞いたアルバムの中でもベストに近い。何カ所か冗長に感じるところもあるが、トータルで問題無しだ。5曲目の冒頭などはかなり冗長に感じるが、ピッチがあがりノリが良くなると、もう、聞いていてたまらなく気持ちが良い。なぜこの辺のバンドが日本で高評価を受けないのか不思議でならない。
ロック好きはもとより、テクノなどのエレクトロニカ好きにも是非聞いて欲しい傑作だ。
PERFECT
FROM NOW
BUILT TO SPILL
★★★☆
元から多様であったシアトルのロック・シーンではあるが、このバンドはその中でも変わり種であるに違い無い。
明らかにトータス、トランズ・アム等の音響系の影響下にあることが伺える。しかし、それらのバンドと比較すると、歌ものとしての要素が濃い。それはヴォーカルが導入されているということからだけでは無く、構造的に見ても言えること。そして、メロディラインの作り方が巧い。それが聞き易さにつながっていて、バンドとしての強みにもなっている。
トータス等への架け橋になると共に、単独でも要注目のバンド。お勧め。
SIXTEEN
STONE
BUSH
★★☆
買った当時はこれほど売れるとは思わなかったイギリス出身だけど、おもいっきりアメリカンなバンドのデビュー・アルバム。
初期パール・ジャムをおもいっきりコピーしています。で、デビューしたタイミングが良かった。ちょうどパール・ジャムがチケット・マスター社との事件でゴタゴタしていて音楽活動が休止していた時期。リスナー達はパール・ジャムに飢えていたもんだから、みんなでこのバンドに飛び付いた。でも、ただの模倣がここまで売れる理由(わけ)は無いってことで、何か光ところがあると思います。でも、それが何か?と問われると、答えに窮してしまう。
模倣傾向が強いとは言え、曲自体の出来は悪くない。興味のある人だけ、聴いてみて。
RAZORBLADE
SUITCASE
BUSH
MCA / MVCP 37
★★
ファーストにあたる前作がアメリカで馬鹿売れした、イギリス出身バンドBUSHの2ndアルバム。
1stはパール・ジャムの初期やニルヴァーナに酷似していたが、はたして今回はどうか?そして、プロデュースはスティーヴ・アルビニ・・・。
アップ、ダウン、アップ、ダウン、沈滞で激情を挟み込み、同時代的雰囲気を醸し出す。それはあくまで雰囲気的なもの。本質のコピーは不可能だったみたい。
模倣によってオリジナルを超えることは出来ない。オリジナルとの差異が、個性となって顕在化したときにのみ、それを超える可能性が生まれてくる。
では、このバンドについてはというと、まだまだ模倣の段階。差異は少なからず生まれているが、個性と呼べるほどでは無い。一度、完全に今のスタイルから脱却し、新たな方法を模索すると、良いかもしれない。
という事で、まだまだお薦めするほどではない。
Medulla