「マキシマム・リスク」 ’96米
原題 MAXIMUM RISK
監督 リンゴ・ラム
脚本 ラリー・ファーガソン
出演 ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ナターシャ・ヘンストリッジ、ジャン=ユーグ・アングラード
評価 ★★☆
<内容>
突然知らされた双子の弟の存在と死。フランス人刑事のアランは、手がかりを追い求め単身ニューヨークへと渡るのだった・・・。
<豆知識>
監督のリンゴ・ラムはハリウッドで活躍中のジョン・ウーと同じく、香港出身。代表作はチョウ・ユンファと組んで制作した「友は風の彼方に」「いつの日かこの愛を」、ジャッキー・チェンと組んで制作した「ツイン・ドラゴン」。
香港のアクション系監督の中でも、比較的ストーリーテーリングに重きを置いた作りをします。
<感想>
ジャッキー・チェンのもたらした功罪とでも言おうか?映画におけるアクション描写が、以前にも増して派手になってきた。そして、今作は監督も香港出身のリンゴ・ラムということで、その傾向は更に強い。しかしこの監督はジョン・ウーほどはアクションに拘らない性格なので、期待していたほど派手なアクション描写は無かった。
しかし、ジャン=ユーグ・アングラードの使い方が安いね。存在感がまったくと言って良いほど無い。監督が彼のこと知らなかったりして・・・。
それと、ナターシャ・ヘンストリッジなんだけれど、この映画では元スーパー・モデルとなっているが、「スピーシーズ」ではスーパーモデル級となっていた。本当はどっち?もしかして経歴詐欺?!
「マッシュルーム」 ’95豪
原題 MUSHROOMS
監督・脚本 アラン・マッデン
撮影 ルイス・アービング
音楽 ポール・グラボウスキー
出演 ジュリア・ブレイク、リネット・カラン、サイモン・シルバース
評価 ★★★
<内容>
万引き癖のあるミニーと惚れっぽいフロー、二人の老女は下宿屋を営みながら仲良く生活していた。しかし、入居希望者(実は指名手配中の強盗犯)に万引き癖のあることを知られたことにより事態は一変してしまう。彼女達を脅し、居座り続ける強盗。恐怖する二人だったが、幸運は突然訪れた。なんと、犯人が一酸化炭素中毒で死んでしまったのだ。喜ぶ二人であったが、警察にこのことを告げると万引きのことまで解ってしまうのでは?という危惧を抱く。悩んだ末、二人は死体の解体を始めた・・・。
<感想>
やはり、南半球の映画は良い。人肉食の映画でありながら爽やかで、最後にはホロリとさせてくれる。
思い返すと、「フライド・グリーン・トマト」もこんな映画だったけ(あっちは解体シーンは無いけれど)。で、知名度、興行成績は桁違い。作品の完成度的にどちらも劣るものでは無いので、「マッシュルーム」も見ようよ。ね、みなさん。
「マトリックス」 ’99米
原題 THE MATRIX
監督・脚本 ウォシャウスキー兄弟
VFX ジョン・ゲイター
アクション指導 ユアン・ウーピン
出演 キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス
評価 ★★★★☆(新世紀のヴィジュアルに対して+☆1つ)
<内容>
トーマス・アンダーソンには二つの顔が有った。コンピュータープログラマーとして真面目に会社に勤務する顔と、ハッキングを行い、入手したデータを売りさばく裏の顔、ネオとしてのものが。
彼は答えを探していた。夢と現実の境界が曖昧な世界を解き明かすための鍵となるものを。その鍵の名前はマトリックスという…。
<感想>
映像の新世代を切り開いたと感じさせるほど、この作品のヴィジュアルは強烈だ。
コミック調のカット割りを多用した演出、香港のワイヤーフレームアクションをスタイリッシュと感じさせるまでに高めて使用するという技、Bullet
Timeを代表とする新しい撮影技術。
しかも、それらの技術は全て作品の要素の一つとして組み込まれており、技術の為に作品が作られているという倒錯的な関係性はこの作品には無縁だ。
現実と信じて疑わなかった世界が実は仮想世界で、真実はAIに支配された世界で人間は単なる燃料電池として栽培されているという悪夢のような世界観。これは、善悪をハッキリとさせたいハリウッド映画の設定として、有効に作用している。
また、賢者の役割を果たすモーフィアスに導かれる救世主というストーリーの流れも、キリスト教的世界観を踏襲しており馴染みやすい。賛否両論のある、一旦は死んだ主人公がお姫様(トリニティ)のキスで蘇るというエピソードも、ストーリー全体に通底する「不思議の国のアリス」を代表とする童話性に通じる。勿論、救世主伝承に良く見られる、通過儀礼としての「死と再生」の意味合いも含まれているだろう。
作品中に散りばめられた意味深な言葉も、見返して見るとしっかりと意味が有る。繰り返しの視聴に耐えうる作品だけに、何度も見返すと面白いだろう。そのたびに新たな発見があり、飽きることが無いと思う。
ベタ褒めしてしまった感のある今作だが、2,3と続けて制作される続編に対しては少々危惧を感じている。マトリックスという世界での主人公は反則的なまでに、ほぼ無敵状態になってしまったからだ。次作以降、この辺の問題を踏まえて、どのような展開をしてくれるのだろうか?期待感は募る
「マンハッタン花物語」 ’96米
原題 BED OG ROSES
監督・脚本 マイケル・ゴールデンバーグ
音楽 マイケル・コンバチーノ
フラワースタイリスト クリストファー・バセット
評価 ★★★★
<内容>
仕事一筋のリサの元に突然花束が届く。不信に思った彼女は後日、配達を担当したルイスに送り主を尋ねる。しかし、彼は決して送り主を明かそうとしなかった。
その日の深夜、彼女が窓の外に目をやると、路地にルイスが立ってこちらを見つめていることに気付く。不信に思った彼女は、翌朝、彼の勤務する花屋に訪れる。何をしていたのか問いつめる彼女に、ルイスは送り主は自分であると言うことを明かす。深夜散歩をしていた際、明かりの点いた窓が一つだけあった。気になって見上げてみると、リサが悲しそうに泣いているのを見つけた。以来、気にかかっていたのだと告白するのだった。
困惑する彼女だったが、彼の誠実さに次第に惹かれていくことを感じるのだった。
<感想>
子供時代に両親から充分な愛情を受けなかった子供は、人の愛し方を知らずに育つという。
この物語のヒロインであるリサも、生後三カ月で空港に捨てられた。擁護施設で育ち、その後、ある夫妻の養女となる。しかし彼女が引き取られた直後に養母が死んでしまう。養父は妻の死のショックでアルコール中毒になってしまう。よって彼女は、家庭という環境を、父母の愛を知らない。だから、なかなか素直に自分の感情を表に出すと言う事が出来ない。
この設定で、物語は安易なラブ・ストーリー(嫌いじゃないんだけどね)との差別化に成功した。結果、ワンランク上の作品に仕上がっている。
また、映画「妹の恋人」にて、精神に障害をおった女性という繊細な演技を要求される役を見事にこなしてみせたメアリー・スチュアート・マスターソンの起用により、サラという女性のリアリティーが増している。
性別を問わず、お勧めです。
「ミッション・インポッシブル」 ’96米
原題 MISSION:IMPOSSIBLE
監督 ブライアン・デ・パルマ
脚本 デヴィッド・コープ、ロバート・タウン
撮影 スティーブン・H・ブラム
音楽 ダニー・エルフマン
出演 トム・クルーズ、ジョン・ボイド、ジャン・レノ、エマニエル・ベアール
評価 ★★☆
<内容>
東欧に潜伏するスパイのリストを盗み出して犯罪組織に売ろうとしている男を監視し、組織もろとも壊滅させる作戦に従事したイーサン・ハント。しかし、計画は失敗し、仲間が次々と殺され、自身も2重スパイの疑いを受け、CIAから終われる羽目になる。
ハントは、唯一残った仲間クレア(エマニエル・ベアール)と共に、事件の真相を掴み、身の潔白を証明しようとするのだった・・・。
<感想>
60、70年代に流行ったTVドラマ「スパイ大作戦」を元に、トム・クルーズが自分の為に自分で製作し、主演した映画。よって、他の役者の待遇は悪い。
トム・クルーズをいかに格好良く撮るかってことに主題があるらしく、次から次へと発生する派手で大仕掛けなアクションは、視聴者の目を楽しませると言うより、トムの自己満足に終始してます。
物語自体も、それほど魅力溢れると言ったものではありませんので、トム・クルーズのファンって言う人以外に奨めることは、ちょっと辛いといったところ
「身代金」 ’96米
原題 RANSOM
監督 ロン・ハワード
脚本 リチャード・プライス、アレクサンダー・イグノン
原案 シリル・ヒューム、リチャード・メイバウム
音楽 ジェイムス・ホナー
出演 メル・ギブソン、レネ・ルッソ、ゲイリー・シニーズ、デルロイ・リンド
評価 ★★★
<内容>
新興の航空会社社長トム・ミューレンの子息が誘拐される。トムは身代金200万$を携え、指定の場所に向かった。しかし、FBIの救出作戦が逆に仇となり、交渉は決裂してしまう。途方に暮れたトムは、犯人に賞金を掛けるという、大きな掛けに出るのだった・・・。
<感想>
二転三転する犯人との駆け引きは、既成の誘拐劇の枠からは創造できない独創的な展開で、見ているものを飽きさせない。ひとえに原案の勝利と言える。ただ、脚本に冗長なところもあり、その点で損をしていえると言えるかも知れない。しかし、それは原案とで相殺され、気にするほどでも無い。また、出演している人物も、中々の名優揃いで、役者の演技面からも楽しめる映画に仕上がっている。まずは見て損が無い大作映画。
「ミミック」 ’97米
原題 MIMIC
監督 ギジェルモ・デル・トーロ
脚本 ギジェルモ・デル・トーロ、マシュー・ロビンス
撮影 ダン・ラウストセン
音楽 マルコ・ベルトラミ
出演 ミラ・ソルヴィーノ、ジェレミー・ノーサム、F・マレー・エイブラハム
評価 ★★★☆
<内容>
ニューヨークの街ではストリックラー病という伝染病が猛威を振るっていた。子供にのみ伝染するこの病気に対するワクチンは開発できず、ただゴキブリが菌を媒介していることが解った。しかし、この街のゴキブリは毒に対する耐性が高く、通常の手段では駆逐できない。そこで、CDCは昆虫学者のスーザン・タイラー博士を呼びよせた。彼女はゴキブリの天敵として、カマキリとアリの遺伝子を持つ新しい昆虫「ユダの血統」を産み出した。この新しい昆虫により、ゴキブリは駆逐され、伝染病の流行も収束するのだった。
3年後、彼女のもとに少年達が昆虫を売りにきた。それは繁殖能力を持たず、一世代で死滅するはずだった「ユダの血統」の幼虫だった。突然変異により繁殖能力を得た「ユダの血統」は人知れずニューヨークの地下世界にて繁殖していたのだった。人を捕食して・・・。
<豆知識>
今作はメキシコ出身の若手監督による、劇場2作目の作品(1作目は本国メキシコで制作された「クロノス」)。で、この作品にはクレジットこそされていませんが、有名な監督が参加しています。まず、脚本段階でスティーブン・ゾダーバーグ、ジョン・セイルズ、第2班の監督にロバート・ロドリゲス、OPタイトルにカイル・クーパー(Ex
セブン)等など。
<感想>
ミミックというからに、この映画のモンスターは擬態する。それは体の形状をダイナミックに変容させるという無理なものではなく、前足を合わせると人の顔に似ているというのもの。後は二足歩行し、羽を体に巻きつけると黒いロングコートを着ているように見えるという設定。これで人と間違えるか?とも思わなくも無いのだけれど、出没するのはニューヨークの地下空間か、街の暗がりだけなので(映画として)許容範囲内のリアリズムは維持している。
また、主人公が昆虫に詳しいだけに、モンスターの習性を利用して巧みに逃げのびる。ここらへんの描写も妙に科学的で、これもリアリズムに結び付いている。
役者陣も演技はで固めることにより、この傾向は更に高まる。
現実感の無いホラーを作るより、実世界に一部リンクしたホラーを作ることで、恐いだけの映画に終わってしまうのを防ぎたかったのだろう。遺伝子操作への警鐘といったところだろうか。
映像もかなりこだわって撮られているので、その面からも注目するのも良いだろう。ホラー映画としては、久々にお薦めできる作品かと思います。お好きな方は必見。
