さらば友よ
器物百年を経て、化して精霊を得てより、人の心を誑す、これを付喪神と号すと云へり。
御伽草子「付喪神」より
多少の不満があっても、長い期間付き合っていると捨てがたいということがある。不満は知恵と技術、そして慣れで克服していったりする。しかし、どうしても別れなければいけないという局面もあったりする…。
Song Cheer TT-600 5”x4、3.5"x2(x3) フロントの3.5"の下の方には玻璃の先ほどの小さな穴が複数開います。サイドに吸気口は無し。 |
いやなに、PCケースの話なんですけどね。このホームページを開設して間もなく組んだPCを制作する際に購入したもので、Song Cheer社のTT-600というフルタワーケース。購入したお店(秋葉原のAZTEC)などは、随分前に閉店してしまっていたりする。で、このケース。2万ちょいした結構良いケースで、作りもしっかりしている。しかし、古いケースの特徴として、吸気が弱い。サイドパネルには吸気口がなく、フロントの底面と下部に申し訳程度(針の先ほどの穴が複数)にあるだけ。排気もCPU側の背面に6cmのファン、上部5”ベイの背面に8cmのファンだけ。この構成だと、冬場は問題無いのだが、4月に入ってからCPUとハードディスクの温度がグングン上がってしまい、とても冷房無しでは動かせないという事態になってしまった。
5”ベイに吸気用のファンをつけてみてはどうか?とも考えたが、フルタワーなもんで、マザーボードと5”ベイは完全に分かれていたりする。で、5”の方の吸気を増やしても、風の流れはそのまま5”背面のファンから排気されるだけで、マザーの方への空気の流れは作れ無い。ケースのフロントやサイドのパネルに穴を開けることも考えたが、フロントはともかくサイドの鉄板は厚く、工作機械も無いので無理と判断。ここは綺麗なまま(経年劣化と埃で薄汚れていますが)退役していただこうと思った次第。
求めるもののカタチ
新しいケースを購入する決意をしたところで、ケースに望むことを考え、まとめてみた。
- 冷却性能。前面と背面に12cm以上のファン。前面ファンからの風はハードディスクの冷却に使えること。サイドパネルには吸気用の穴があること。
- 剛性。鉄板が薄いとファンやハードディスクなどの出す振動と共鳴してとんでもなく五月蠅い音を出すケースがあるので。
- 内部の作りがしっかりしていること。ねじ穴が微妙にずれていたりなどは論外。金属の切断面には怪我防止のため、バリ取り加工などがしっかりなされていること。
- ハードディスクは最低3台までは搭載出来ること。5”ベイはそれほど数は必要無し。
- それなりに見られるようなデザイン。あまり貧相なデザインだと、使っていても萎えてくるので。
- 電源は要らないので、価格は1万円前後。
と、だいたいこんな感じ。この辺に加えて静粛性も重視したいところだけれど、まぁ、この辺は凝り出すと切りがないので、必須条件からは外してみた。以上のような条件でいくつか候補をネットで検索してみた。
CoolerMaster Centurion534+PLUS
クーラーマスター社のミドルタワーケース。側面と背面に12cmファンを装備。前面にも12cmファンを設置可能。電源無しで1.1万円前後。
Compucase(HEC) 6C60SBNP
Compucase社のミドルタワーケース。背面に12cmファンを装備。前面には12cmファン、サイドには9cmファンを設置可能。電源無しで6.5千円前後。
3R SYSTEM 3R-C7689
3R SYSTEM社のミドルタワーケース。背面と前面に12cmファンを装備。側面にはパッシブダクトを搭載。電源無しで価格は6千円前後。
と、とりあえずめぼしい物を3つ候補として抑えた。剛性や内部の作りは実際に実物を確かめてみないとわからないので、秋葉に。
新たな力 12cmファンx2+前面スリット
写真で見るのと実際目で見て触るのとは随分異なるわけで、3R社のは筐体がベコベコで却下。クーラーマスターのCenturion534+PLUSとCompucase社の6C60SBNPは問題なし。ただ、6C60SBNPは現在利用中のサーバ用ケースとデザインが似ているために、評価はマイナス。Centurion534+PLUSはハードディスクをサイドから出し入れするタイプで好感。これは今のサーバケースと同じで、これは思いの外使いやすい。しかし、見た目が少し好みではない。まぁ、折角、秋葉原に来たのだからと、他にも物色してみる。
2時間ほどかけて有名どころの店舗を一通り廻ってみた。その結果、Dos/Vパラダイスにて、Scythe社が輸入販売しているSUNBEAMTECH社のミドルタワーケース「Freezing Storm」が目に付いた。よく見れば、筐体自体はクーラーマスターのCenturion534+PLUSと全く同じ。フロント部分だけが違うということに気がついた。フロントはこっちの方が好みにあう。値段も1万円札で少しだけお釣りがくる。更に、高品質なものでは無いが、450wの電源付き。今のケースの電源は380wで、少々足りないと考えていたので換装するのも良いだろう。これを購入することに決めた。
魂の移植 - 義体(筐体)交換
Sunbeamtech Freezing Storm 5”x5、3.5"x2(x3) 前面と背面に12cmファン、オプションでサイドに9cmファンを装着。前面はスリット構造。 右のケースは似たような構造&構成の汎用サーバ。 Celsus WN-600BK 5”x5、3.5"x2(x3) 前面吸気口には取り外しが簡単なフィルター付き。 |
ケース交換による内部移植などは手慣れた物。加えて、使わなくなった電源は取り外して他のPCに移植するというドミノ移植も実施。
新ケースは各種デバイスの固定をスクリューレスで行えるタイプ。5”ベイに入れたDVDドライブは差し込んだ後にサイドに設置されたプラスチックのスライドを使って固定。ハードディスクは前面ファンの直後にあるハードディスク専用シャドウベイに専用のレールをハードディスクの両サイドにはめ込んでから入れるだけ。最後までベイに押し込むとカチッと固定される。ビデオなどの各種カード類もネジを使わず固定出来るが、これはちょっと不安を感じるので、ネジでも固定した。ファンは前面と背面に12cmのものが設置されているが、サイドにも8cmのファンが設置できる。ちょうど前のケースは8cmファンを交換したばかりだったので、これを外して設置。吸気ファンとして使うことにした。丁度CPUファンの真上に設置することになるので、冷却効果がよりアップすると思われる。
作業は1時間程度で完了。起動も問題無し。ケースの入れ替えだけだと、OSを入れ直すなどの作業もなく、実に楽だ。
新しいカタチへの所感とまとめ
で、交換してみた結果、以前だとCPUの爆熱を静めるために唸りを上げて回転していたCPUファンも(比べてみれば)静かになり、ハードディスクの温度(S.M.A.R.Tからの情報)も、室温+8度程度で収まるようになった。これで真夏の猛暑もなんとかしのげるようになったと思われる(さすがに30度超えると冷房入れるが)。だが、気になったことが一つ。前面のファンやスリット部分、サイドにもフィルターが無いので、内部に埃が入り放題だ。せめて吸気ファンにはフィルターを装着しないと駄目だと痛感した。このままでは、吸気ファンが埃ですぐに駄目になってしまう(なぜか12cmファンを2つストックしていたりもするが)。
ケースの見た目はOKなのだが、DVDドライブがアイボリーなので、間抜けだ。いずれフロントの黒いドライブに換装するとしよう。しかし、電源ランプとHDランプは青色LEDですか。使っているキューブケースも黒字で青色LED、キーボードも黒字で青色LED。図らずも統一されてしまった気がする。とはいえ、青色LEDは他と比べて明るく、目立つ。私のPC環境では視線の内には入らないので良いが、モニターの電源ランプなどに使われているととても目障りだったりする。
Pentium4末期のPrescottコアのように100Wを超えるようなCPUは減り、消費電力の少ないメニーコアなCPUが時代の中心になってきた。とはいえ、それに反比例するかのようにビデオカードの発熱量が増加し、ハードディスクも冷やしてやらないといけない。効率的に冷却を行うケースの存在はとても重要だと痛感する今日この頃だ、、、と、安易にまとめて終了、、、。
CPU | Pentium4 2.4c(2.4Ghz) |
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Mother Board | GIGA-BYTE GA-8IPE1000Pro(i865PE) |
Memory | 1G(512M+512M) |
Video | ATI Radeon9600 (128M) |
Capture | Buffalo MV5DX/PCI |
HDD | Segate ST380021A(IDE,80G) Hitachi Deskstar 7K250 HDS722512VLAT20(IDE,120G) Segate ST3160021A(160GB) |
DVD-RW | TEAC(Rx4,RWx2) |
Sound | Creative Vibra128 |
ATA | Promise Ultra133 TX2 |
ether | INTEL Pro/1000 MT Desktop Adapter(1000BASE-T) |
本体ケース | Sunbeamtech Freezing Storm-BK |
Power | Scythe SCY-450A-AD12(450W) |
Keyboard | Filco FKB91JP |
Trackball | Logitech TrackMan Wheel |
ルーター | BLR3-TX4 |
タブレット | WACOM ArtPadⅡ |
スキャナー | Canon N656U(600dpi) |
Monitor | Nanao Flex Scan T731 |
OS | WindowsXP Professional SP2 |
CPU | AMD AthlonXP 2500+ |
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Mother Board | IWill K7S3-N |
Memory | 1G(512M+512M) |
Video | ATI Radeon9600(128M) |
Capture | NEC SmartVision HG/V |
HDD | Fujitu 40G(IDE) IBM 80G(IDE) WesternDigital 250G(IDE) Maxtor 120G(IDE) |
CD-RW | Plextor PX-W1610TA/BS |
Sound | on Board(Realtek ALC650) |
ATA | 玄人志向 ATA133RAIDPCI |
ether | Greenhouse GH-ELG32B(BCM5705WKFB(100BASE-T)) |
本体ケース | Celsus WN-600BK |
Power | Nextwave Silent King2 HK400-13BP-2(400W) |
Keyboard | NEC CMQ-5C03L B |
Trackball | Logitech TrackMan Wheel |
Printer | CANON LBP-1110 Canon LBP-5220 |
Monitor | e-yama 19AC1 |
OS | Windows2000 SP4 |
CPU | Intel CeleronD 2.66Ghz |
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ベアボーン | Windy Tipo800i AP |
Mother Board | A-OPEN UX4SG-1394(i865G) |
Memory | 1G(512M+512M) |
Video | ATI Radeon9550(128M) |
Capture | Canopus MTU-2400F |
HDD | Segate 200G(IDE) |
DVD±RW | NEC ND-3520A(Rx16,RWx8) |
Sound | on Board |
ether | on Board(Broadcom BCM5702(1000BASE-T)) |
Keyboard | Filco FKB91JP |
Trackball | Logitech TrackMan Wheel |
Monitor | Nanao Flex Scan T731 |
OS | WindowsXP Home SP2 |