1999年に解散し、2007年に再び再結集して制作されたThe Verve4枚目のフルレンスアルバム。前作「Urban Hymns」から11年を経ての新作リリース。
3枚目のようなヒストリカルなグレイトロックを期待すると肩すかしを食らう。1st、2ndを彷彿とさせるような曲調の作品もあるが、その印象は違う。サイケデリックではあるのだけれど、ドロ~ンと澱んだ感じはなく、もっと自覚的でクリアな音だ。サウンドプロダクションの違いもあるのだろうが、過去のアルバムとは決定的に異なる。では、駄目なのかと言うと、そんなことは決して無い。クリアな分メロディが耳に残る。それも極上の旋律が。取り分け2曲目の「Love Is Noise」は何度聞いても痺れる。今年聞いた中でも一番の名曲だ。
Coldplayのような物まねロックが王道として流通してしまう昨今、本物はやはり凄いと感じさせられた一枚だ。おすすめ。
英国のプログレッシブロックバンドマリリオンの14枚目となるフルレンスアルバム。
ファーストインプレッションからとても地味なアルバムだ。ノリの良いはずの楽曲まで少し重く感じる。全10曲中4曲は比較的アップかミドルテンポの軽快なメロディなのだが、6曲はスローテンポとなっているので、この辺が地味さの原因かとも思ったが、どうも違う。そこで過去のアルバムと比較しながら聞き比べてみた(PCに取り込んでおくと、この辺の作業がとても便利だ。音質はさておき)。
聞き比べてまず気がついた点はロザリーのギターの存在が以前にも増して薄くなっていると言うこと。主旋律をギターが担う楽曲においてすら、音数が少ないので目立つところが少ない。しかし、これは最近彼らのアルバムでは似たような傾向なので、これが地味な主要因とは思えない。さらに聞き込むと、どうにも歌声が籠もって聞こえてくる。PCのサウンドカードの製かとも思ったが、他のアルバムではそういったことも無い。CDプレイヤーに切り替えて聞いてみても籠もっている。ヴォーカルのサウンドプロダクションとして、こういう音を選んだのだろう。しかし、これはどうにも成功したとは思えない。今のマリリオンのサウンドの核は明らかにホーガスのヴォーカルだ。現在のピンクフロイド的なサウンド傾向で中心がぼやけていると、気の抜けたサイダーのようにすら感じる。それが証拠にラストとなる10曲目「Faith」はアコースティックギター1本をバック(途中から他の音も入ってくるが)にホーガスがゆったりと歌い上げる作品だが、歌声はクリアで高域も抜けたものとなっているので、とても聞きやすく耳に残る。
今作は楽曲の出来以前にサウンドプロダクションが失敗していると思われ、どうにも聞き続けることが出来ない。マリリオンのアルバム(ホーガスがヴォーカルになって以降)でこういう作品は初めてだ。お勧めはしかねる。
Indestructible
Disturbed
★★★☆
前作「Ten Thousand Fists」より3年ぶりにリリースされるDisturbed通算4枚目となるフルレンスアルバム。
音楽が多様化し、様々なジャンルがそれぞれに要素をミクスチャーしあいながら更に新たなジャンルを生み出している。Heavy Metalというジャンルも同様で、パンクやプログレ、ファンクやヒップホップ、テクノ、インダストリアルなど、混ざりあいながらスラッシュ・メタル、グランジ、デスメタルなど、様々な亜種を派生させてきた。では、今のHeavy Metalというジャンルを捉えた場合、この音楽ジャンルを具現化する、最も正統的なバンドはなんだろう?と考えた。ボクはこのバンドあたりがそれにあたるのではないかと考えている。往年のジュダス・プリーストやアイアン・メイデンも確かに正統かつ王道かもしれない。しかし、彼らの音楽性は時にブレる。モダンを意識するあまり、方向性がおかしな方向に向かうときがある。しかし、このDisturbedというバンドはぶれない。しかし、古くさいということではない。Heavy Metalという音楽のモダン化を行いつつも、その音楽性は真芯を捉えていると思う。(このバンドのメンバーが40,50代になったときに、まだHeavy Metalの王道を演奏出来るかは保証の限りでは無いけれど。)
さてアルバムの内容はというと、相変わらずヴォーカル(デイヴィッド・ドレイマン)の存在感が強い。侠気あふれる歌唱方でバラードの類は一切無く、全曲がパワーメタル。しかし、聴き疲れしないのはメロディーラインがしっかりしているからだろう。
楽曲の展開もストレートなものばかりで、プログレ的な複雑なものを求める人には物足りないだろうが、Heavy Metalが好きとい人には自信を持ってお勧めできる作品だ。
Watershed
Opeth
★★★☆
通算9枚目となるOpethのフルレンスアルバム。ギター、ドラムのメンバーチェンジを経てのリリース。
オープニングパートとなる3分弱のアコースティックギターで幕をあけるナンバーには二人の女性ヴォーカル迎えてのトリオヴォーカル。終始美しい旋律で展開される1曲めのラストは嵐を感じさせるSEで幕を閉じる。続く2曲目は重いリフとドラムで始まり、静かなピアノパートで一拍置いた後に歪んだデス声で複雑な展開をするプログレッシブデスメタルと化す。間奏部ではまたアコースティックで綺麗な旋律。静と動と激しく振幅を繰り返すのがOpethワールドのお約束。この展開にプログレ者はひとたまりもない。ただ魅了されるばかり。私をデスの世界に引きずり込んだ魅力はいまも光り輝く(このバンド以外のデスメタルは未だ苦手だけれど)。プログレ者には是非聞いていただきたい一品。お勧め。
IN RAIN_BOWS
Radiohead
★★★★
前作の国内盤はコピーコントロールCDという腐った仕様だったが、今作は打って変わってアルバムの価格を購入者が自分で決めることが出来るという実験的な手法によるネットでの先行発売を行った(0円での購入も可能)。多分にプロモーション的な傾向の強い企画だが、ダウンロードを行った大半の人がお金を支払い、購入金額も良識的なものだったようだ。私はAmazonにて既にCDを注文済みだったので、100円を支払っておきました。
所属レーベルとの決別などのごたごたなどで前作より4年ぶりのリリースとなる今作は、これまでのアルバムとはかなり趣がことなる。内省的なサウンドの傾向は相も変わらずだが、ダウナーな鬱的なものではなく、アッパーな躁とまではいかないが、これまでとは比較にならないほどのオープンマインドなサウンドとなっている。聞いていても落ち込んでくるということが無い。それなりに高揚してくるものまである。EMIという大手レーベルと決別し、各国のインディーズレーベルと契約したことも影響しているのかもしれない。重苦しい軛から解き放たれたという…。
楽曲も初期作ほどケレン味のあるようなものではないが、とても良く練られたものでかなり出来が良い。エレクトロニカ色も前作以上になりを潜め、というより、バンドサウンドと完全に融合したといえるまでに混ざり合っている。それは、とても聞きやすいという効果を生み、何度でもリピートしていたいという気すらおこさせる。
今作は今後の彼らの代表作となるエポックメイキング的な作品であると同時に、Radioheadというバンドの入門作としても絶好の作品といえる。お勧め。
Forth
Somowhere Else